フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレ美術館)青の時代のピカソ

  L’appartement était d’un luxe presque trop raffiné, plutôt féminin. Les fauteuils du salon étaient blancs et les toiles, au mur, de l’époque bleue de Picasso, de Renoir et de Marie Laurencin 

(©Georges Simenon : Maigret et le tueur; Chap.1er) 

 

 アパルトマンは豪奢なしつらえだった。ほとんど洗練され過ぎていて、むしろ女性らしさが感じられた。広間のソファは白だった。また、壁に掛かった絵画には、ピカソの青の時代のものルノワールマリー・ローランサンの作品があった。

(#97『メグレと録音マニア』第1章)

∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

 

*被害者は21歳のソルボンヌの学生で、住まいはセーヌ川中洲のサン=ルイ島の瀟洒なアパルトマンで、富豪の両親と暮らしていた。メグレは深夜にもかかわらず、邸宅を訪ねて訃報を伝えることにした。電話一本で済むようなことではあるが、いつものように事件の捜査としては、被害者の身辺の環境を理解する必要を感じていたのだった。

*L’appartement était d’un luxe < être(ラパルトマン・テテ・ダンリュクス)アパルトマンは豪奢なしつらえだった(半過去形)

luxe n.m. 贅沢、豪華、豪奢、デラックス (de luxe)

 

presque trop raffiné, plutôt féminin(プレスク・トロラフィネ・プリュト・フェミナン)ほとんど洗練され過ぎていて、むしろ女性らしさ(が感じられた)

 

Les fauteuils du salon étaient blancs < être(レフォートゥイユ・デュサロン・エテブラン)広間のソファは白だった(半過去形) 

 

et les toiles, au mur(エレトワル・オーミュール)そして壁に掛かった絵画は 

 

*de l’époque bleue de Picasso(ドゥレポクブルー・ドゥピカソピカソの青の時代のもの

「青の時代」と称されるピカソは20代初めの時期で、青年の不安と孤独を表わす青色を基調とした作風で知られる。パリに出て間もない頃である。

f:id:maigretparis:20200208092031j:plain

Crédit photo : Pablo Picasso (1881-1973) - Le bock (Portrait de Poète Sabartes),1901-02, Pushkin Museum, Moscow. @Wikipedia