フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(こだわりの酒)バーボンウイスキーも悪くない

  Mais cela ne lui déplaisait pas de retourner au Manhattan (---) et, au fond, il n’était pas fâché non plus de boire un whisky, il en avait retrouvé le goût sans déplaisir. (---) 

ー Le même Whisky que ce matin, (---)

ー Un bourbon ?

ー C’est vous qui me l’avez servi.  Je ne sais pas. 

(©Georges Simenon : Maigret, Lognon et les gangsters; Chap.5) 

 

 しかしマンハッタン・バーに戻ることは彼の気分を損なわなかった。 (---) 実のところウィスキーを飲むのも嫌な気分ではなかった。彼は文句なしにその味わいを思い出したのだ。 (---)

「今朝と同じウィスキーをくれ。」 (---)

バーボンですか?」

「あんたが出してくれたやつだよ。知らないけど。」

(#66『メグレと生死不明の男』第5章)

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Mais cela ne lui déplaisait pas < déplaire(メスラヌリュイ・デプレゼパ)しかしそのことは彼の気分を損なわなかった(半過去形)

 

de retourner à(ドゥ・ルトゥルネ・ア)~に戻ること 

 

au fond(オーフォン)実のところ、結局は

 

il n’était pas fâché non plus < être(イルネテパ・ファシェ・ノンプリュ)彼は嫌な気分でもなかった(半過去形)

 

de boire un whisky(ドゥ・ボワール・アンウィスキー)ウィスキーを飲むこと

 

il en avait retrouvé le goût < avoir, retrouver(イランナヴェ・ルトルヴェ・ルグー) 彼はその味わいを思い出していた(大過去形)

 

sans déplaisir(サンデプレジール)不満なしに、すすんで

 

Le même Whisky que ce matin(ルメーム・ウィスキー・クスマタン)今朝と同じウィスキー

 

*Un bourbon ?(アン・ブルボン)バーボンですか?(バーボンウイスキーは、スコッチと異なり、アメリカ中東部でトウモロコシを主原料とし、焦がした樽で熟成させる独特の風味で知られる。バーボンは元々独立戦争を支援したフランスのブルボン王朝にちなんで名づけられた地名である。)仏和辞書では、王朝名もウィスキーも発音表記は同じ「ブルボン」になっている。また Whisky / Whiskey の違いでは、アイリッシュ系とアメリカでは -key になるようだ。

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Crédit photo : Four Roses Kentucky Straight Bourbon Whiskey 750ml

@Liquorama 

https://www.liquorama.net/

 

C’est vous qui me l’avez servi < avoir, servir(セヴー・キムラヴェ・セルヴィ)それを私に出したのはあなただ(従属節は複合過去形)

 

Je ne sais pas < savoir(ジュヌセパ)私は知らない