フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(こだわりの酒)アメリカン・バーでウィスキー

ー Rue des Capucines, dit-il au chauffeur.  Au Manhattan Bar. (---)

Bonjour, commissaire.  Qu’est-ce que je vous offre? (---)

  Pour la couleur locale, Maigret commanda un whisky, (---)

  Il les avait servis généreusement, voilà tout, surtout Maigret, et celui-ci n’avait pas bu de whisky depuis longtemps.

(©Georges Simenon : Maigret, Lognon et les gangsters; Chap.3~4) 

 

「キャプシーヌ街のマンハッタン・バーだ。」とメグレは運転手に言った。(---)

「こんにちは、警視。何を差し上げましょうか?」(---)

 郷に従って、メグレはウィスキーを頼んだ。(---)

 彼は気前よく出してくれた。とりわけメグレにとってはそれだけだった。彼は長いことウィスキーを飲んでいなかったのだ。

(#66『メグレと生死不明の男』第3~4章)

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*パリのオペラ座近くには昔から有名なアメリカン・バーが実在する。《ハリーズ・バー》Harry’s bar といい、ガイドブックにも載っている。パリに来たアメリカ人が必ず立ち寄る場所の一つで、上記のマンハッタン・バーもこれを仄めかしている。メグレは、ギャングたちの動向を知ろうとして、この店で聞き込みすることを思いついたのだった。

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Crédit photo : Vue de Harry’s New York Bar, rue Daunou, Paris 2e

@Google street-view ウィンドーの創業何年という表記が毎年1つずつ増えている。

 

dit-il au chauffeur < dire(ディティル・オーショファー)彼は運転手に言った(現在形)

 

Qu’est-ce que je vous offre? < offrir(ケスク・ジュヴゾフル)何を差し上げましょうか?

 

*Pour la couleur locale(プーラクルーロカル)郷土色のために ≒ 郷に従って 

よく使われる諺「郷に入っては郷に従え」のフランス語表記は、À Rome, fais comme les Romains(ローマではローマ人のようにせよ)

 

commanda un whisky < commander(コマンダ・アンウィスキー)ウィスキーを頼んだ(単純過去形)

 

*Il les avait servis généreusement < avoir, servir(イルレザヴェ・セルヴィ・ジェネルーズマン)彼はそれを気持よく出してくれた(大過去形)メグレは部下と一緒なのでウィスキーは複数形 les になる。その後に来る過去分詞 servi には s が付く。

 

voilà tout, surtout Maigret(ヴォワラトゥ・シュルトゥ・メグレ)それだけだった、とりわけメグレには

 

celui-ci n’avait pas bu de whisky < avoir, boire(スリュイシ・ナヴェパビュ・ドゥウィスキー) ウィスキーを飲んでいなかった(大過去形)

 

depuis longtemps(ドピュイ・ロンタン)長いこと、しばらく