フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレと印象的な女性たち)待合室のセシル

  Elle était capable de rester des heures à la même place, immobile, les deux
mains sur son sac, son ridicule chapeau vert toujours un peu de travers sur
des cheveux trop tirés. 
(©Georges Simenon : Cécile est morte; Chap.1er de 1ère Partie) 

 彼女は同じ場所で何時間もじっと待っていることができた。両手をハンドバッグの上に置き、ひっつめ過ぎの髪に奇妙な緑の帽子をいつも少し斜めにかぶっていた。
(#41『セシルは死んだ』第1部・第1章)

∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

*事件のタイトルとなっている若い女セシルの描写である。伯母と暮らしているアパルトマンに奇妙な侵入者がいると言って、メグレを頼って何度も警視庁に足を運んでいる。早朝から待っている姿は庁内でも話題になっている。作者のシムノンは女性の姿態をさまざまに巧みに描いているが、「待合室で背筋を正してきちんと座り、ひざの上のハンドバッグに両手を乗せて待っている」姿もその一つである。
イメージ 1

Crédit photo : L’écran sur Youtube
Téléfilm “Cécile est morte” de
“Les enquêtes du commissaire Maigret”
© ORTF, 1967 @Archive INA - Institut
National de l'Audiovisuel

Elle était capable de rester des heures <
être(エレテ・カパーブル・ドゥレステ・デズール)彼女は何時間もそこにいることが出来た(半過去形)

à la même place(アラメームプラス)同じ場所に

immobile(アンモビル)adv. 動かずに

les deux mains sur son sac(レドゥマン・シューソンサック)両手をハンドバッグの上に置いて

son ridicule chapeau vert(ソンリディキュル・シャポーヴェール)彼女の奇妙な緑の帽子 

*toujours un peu de travers(トゥジュー・ザンプー・ドゥトラヴェール)いつもちょっと斜めに mettre son chapeau de travers 帽子を斜めにかぶる

sur des cheveux trop tirés(シューデシュヴー・トロチレ)ひっつめ過ぎの髪