フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(有名なメグレ警視)地元では自慢の種

ー Vous, vous n’êtes jamais retourné au pays, où pourtant on ne vous a pas
oublié et où, je puis bien vous dire, on est fier de vous.
(©Georges Simenon :Un échec de Maigret; Chap.3)

「あなたは国に戻ることは決してなかったでしょうが、村ではあなたのことを忘れませんでした。もっと言えるなら、あなたのことを自慢していましたよ。」
(#76『メグレの失態』第3章)

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*作者のジョルジュ・シムノン(Georges Simenon, 1903-1989)は、メグレの生育地を架空のサン=フィアクル村(Saint-Fiacre)にしているが、そのモデルとなった村はアリエ県のパレ―・ル・フレジル(Paray-le-Frésil)とされている。その理由は、シムノンが20代早々の約2年間、この村の城主トラシー侯爵のもとで秘書として暮らしたことにある。現在、城館はホテルになっている。村の通りの一つは「メグレ警視通り」(Rue du commissaire Maigret) と名付けられている。
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Crédit photo : Vue du
village de Paray-le-Frésil
attribué à celui de Saint-
Fiacre, le lieu de nais-
sance du Commissaire
Maigret
©Google street-view


*vous n’êtes jamais retourné au pays < retourner(ヴネト・ジャメ・ルトゥルネ・オペィ)あなたは決して国に帰ることはしなかった(複合過去形)セリフではこう言っているが、メグレは一度『サン=フィアクル殺人事件』
(L’Affaire Saint Fiacre)で里帰りをしている。
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où pourtant on ne vous a pas oublié < oublier(ウ・プルタン・オンヌヴザパ・ズブリエ) そこ(村)ではそれでもあなたのことを忘れませんでした(複合過去形)

je puis bien vous dire < pouvoir(ジュピュイ・ビァン・ヴディール)私はあなたに言うことができる(現在形 puis = peux)

on est fier de vous(オンネ・フィエ・ドゥヴ)人はあなたのことを自慢している