フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「立ち聞きをする」

ー M. Fumal a dû venir vous voir ce matin.
ー Il vous en a parlé ?
ー Non.  Je l’ai entendu téléphoner au ministre de l’Intérieur.
ー En votre présence ?
ー Je ne l’aurais pas su autrement, car je n’écoute pas aux portes.
(©Georges Simenon : Un échec de Maigret; Chap.2)

「フュマルさんが午前中あなたに会いに来たはずですが。」
「そう話したたんですか?」
「いいえ、彼が内務大臣に電話するのを聞いたんです。」
「あなたの目の前で?」
「他に知る手立てはなかったでしょう。私は立ち聞きはしませんから。」
(#76『メグレの失態』第2章)

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*メグレが昼食中にフュマルの秘書だという女が警視庁を訪ねて来た。メグレは食事もそこそこに警視庁に戻った。
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Crédit photo : “J’écoute aux portes” de Jean
Marsus, broché @Rakuten.fr

a dû venir vous voir < devoir(アデュ・ヴニール・ヴヴォワール)あなたに会いに来たのに違いない(複合過去形)

Il vous en a parlé ? < parler(イルヴザンナ・パルレ)彼はそのことをあなたに話したのか?(複合過去形)

Je l’ai entendu téléphoner < entendre(ジュレ・アンタンデュ・テレフォネ)私は彼が電話するのを聞いた(複合過去形)

En votre présence ?(アンヴォートル・プレザンス)あなたのいるところで?

Je ne l’aurais pas su autrement < savoir(ジュヌローレパシュ・オートルマン)私はそれを他の方法で知ることはなかったでしょう(条件法過去形)

*car je n’écoute pas aux portes(キャー・ジェネクトパ・ゾーポルト)なぜなら私は立ち聞きをしませんから。(戸口 porte が複数形であることが慣用)