Elle n’était pas complètement à son aise. On devinait qu’elle parlait pour
parler, pour gagner du temps.
ー Vous m’en voulez beaucoup ? (---)
ー De quoi ?
ー Je sais fort bien que vous avez été déçu. Pourtant ce n’est pas tellement
ma faute.
(©Georges Simenon : Mon ami Maigret; Chap.4)
彼女は完全にくつろいではいなかった。時間稼ぎで話すために話しているのがわかった。
「私のこと、とても悪く思っているんでしょ?」(---)
「何に?」
「がっかりしてたのはよくわかります。でもそれは私のせいじゃないですよ。」
(#57『メグレ式捜査法』第4章; 原題は「わが友メグレ」)
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à son aise(アソンネーズ)くつろいで、気楽に
On devinait que < deviner(オンドゥヴィネ・ク)人は~を見抜いた(半過去形)deviner v.t. 見抜く、言い当てる、推察する
parlait pour parler < parler(パルレ・プーパルレ)話すために話していた(半過去形)
pour gagner du temps(プーガーニェ・デュタン)時間稼ぎのために.
*Vous m’en voulez beaucoup < vouloir(ヴマンヴレボクー)あなたは私をとても嫌っている。直訳では「それを望む」ような積極的なニュアンスに思えるが、実際の意味は正反対なのが意外で、これを覚えるのに苦労した。日常的にはよく使われている。
仏仏辞典でも détester ou avoir de
la rancune contre quelqu’un とある。
rancune(ランキュヌ)n.f. 恨み
Crédit photo : L’île de Porquerolles,
@Google street-view
De quoi ?(ドゥクヮ)何のこと?
fort bien(フォールビァン)とてもよく
vous avez été déçu(ヴザヴェ・ゼテデシュ)あなたはがっかりしていた(大過去形)
déçu(デシュ)adj. 失望した、がっかりした
*Pourtant ce n’est pas tellement ma faute(プルタン・スネパ・テルマン・マフォート)それでもそれはまったく私の責任ではありません。
**Ce n’est pas ma faute(スネパ・マフォート)フランス人が責任回避の
ために口癖のように言う語句。フランスでは伝統的に学校教育で「話法」
(discours) や「議論」(débat)の訓練があるので、自分がやり込められないための手段を学ばされる。それがこの口癖に表れているようだ。