フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「やぶを叩きまわる⇒ 見当違いをする」

ー Allô !... Oui, c’est Maigret.  Je suis un imbécile, mon cher juge.  Et je me
sens responsable de la mort d’un homme.  Oui, un nouveau cadavre. (---)
C’est ce que j’aurais dû comprendre dès le début.  Je battais les buissons
au lieu de m’attacher à la seule piste importante.
(©Georges Simenon : La Patience de Maigret; Chap.6)

「もしもし! はいメグレです。判事、私は愚か者ですよ。男が死んだのは私のせいだと思います。えぇ、新たな死人です。 (---) 最初からわかっていなけりゃいけなかったことです。たった一つの重要な手がかりを追い求める代わりに見当違いのことをやっていたんです。」
(#91『メグレと宝石泥棒』第6章; 原題は「メグレの忍耐」)

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imbécile(アンベシル)n.m. 愚か者、ばか adj. 愚かな
je me sens responsable de < se sentir(ジュムサン・レスポンサブル)~の責任を感じています(現在形)  

cadavre(カダヴル)n.m. 死体、死人

*ce que j’aurais dû comprendre dès le début < devoir(スク・ジョーレデュ・コンプランドル・デルデビュ)最初から理解しておくべきこと(条件法過去形)
**j’aurais dû inf.(ジョーレデュ)「~しておけばよかった」という反省・後悔の気持を表す表現で、頻繁に用いられる。覚えておく必要のある語句。

*Je battais les buissons < battre(ジュバッテ・レビュイソン)やぶを叩きまわっていた(半過去形)やぶ les buissons < buisson が複数形になっている。昔から狩猟などでやぶを叩きまわって獲物を追い出すことが行われていた。ここでは「見当違いをしていた」という意味でメグレが話している。
イメージ 1

Crédit photo: Paysage Algérien,
Le ravin de la Femme Sauvage
Huile sur toile, 81 x 66
Paris, musée d'Orsay

au lieu de(オーリュード) ~するかわりに

m’attacher à < s’attacher(マタシェ)v.pr. 専念する、打ち込む、離れない

la seule piste importante(ラスールピスト・アンポルタント)たった一つの重要な手がかり