フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「通りに面して切妻の家を持つ⇒ 立派な家を持つ」

 Le restaurant avait acquis une clientèle cossue.(---) Quelques caïds avaient
gardé leurs habitudes, mais ce n’étaient plus des jeunets prêts à n’importe
quel mauvais coup.  Ils avaient pignon sur rue, la plupart femmes et enfants.
(©Georges Simenon : La Patience de Maigret; Chap.4)

 そのレストランは裕福な顧客層を持っていた。(---) 何人かの顔役は彼らのしきたりを守っていたが、もはや何でもいいから悪事を働こうとする若造ではなかった。彼らは立派な家を構え、ほとんど妻子を持っていた。
(#91『メグレと宝石泥棒』第4章; 原題は「メグレの忍耐」)

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clientèle(クリアンテル)n.f. 顧客層

cossue < cossu(コッシュ)adj. 富裕な、金持ちの

caïd(カイド)n.m. 顔役、親分

habitude(アビチュド)n.f. 習慣、しきたり
jeunet(ジュネ)n. ごく若い人、若造 adj. 若すぎる

n’importe quel mauvais coup(ナンポルトケル・モーヴェクゥ)悪い事なら何でも
 
*Ils avaient pignon sur rue(イルザヴェ・ピニョンシュルリュ)彼らは立派な家を構えていた(半過去形)( rue には冠詞を付けないことが多い)
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avoir pignon sur rue 直訳では「通りに面して切妻の家を持つ」だが「資産家である」という意味になる。何世紀も言い継がれてきた慣用表現である。

pignon(ピニョン)n.m. 切妻(家の横または前が三角形の壁になっている屋根の構造)特に欧州では三角形の部分を建物の正面
façade(ファサド)として通りに面して建てることが評価された。日本でいえば「うだつの上がる家」だろうか。

Crédit photo: Anciennes maisons
aux pignons, la rue François
Miron, 4e, Paris - ©Google street-
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