フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「鼻から虫を引き出す⇒ 巧妙に話を引き出す」

 L’indiscrétion venait-elle d’un des inspecteurs qui n’y avait pas vu malice et
qui s’était laissé tirer les vers du nez ?  Il n’ignorait pas que les reporters
furetaient partout.
(©Georges Simenon : L’ami d’enfance de Maigret; Chap.6)

刑事たちの一人が悪意からとは思わずに巧みに話を引き出されて情報が洩れたのだろうか? 彼は新聞記者たちが至る所をうろついていることを見過ごしてはいなかった。
(#96『メグレの幼な友達』第6章)

∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

indiscrétion(アンディスクレシォン)n.f. 口の軽さ、秘密を漏らすこと、厚かましさ。

malice (マリス)n.f. 悪意、からかい

s’était laissé < se laisser(セテレッセ)~させられた(半過去形)

*tirer les vers du nez(チレレヴェーデュネ) 直訳では「鼻から虫を引き出す」というちょっと奇妙で、気味が悪い表現だ。
イメージ 1

辞書には「もともと羊の鼻にいるハエの幼虫を引き出す」ことだったと書いてある。それがどうして「話を巧みに引き出す」意味になったのかは不明。フランスの子供たちもこの言い方が変だと思うらしく、いたずら書きの絵を描いている。これも鼻にまつわる慣用表現の一つである。

ver(ヴェー)n.m. 虫、幼虫、青虫、毛虫

参考Blog :


Il n’ignorait pas que ~(イルニニョレパク)彼は~を無視していなかった。(半過去形)

reporter(ルポルテー)n.m. 新聞記者、報道員、リポーター(外来語)

furetaient < fureter(フュルテ)v.t. うろつきまわっていた(半過去形)

partout(パルトゥ) 至る所を