フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(こだわりの酒)フランボヮーズ酒

 Ils regardèrent la télévision, ce soir-là, Mme Maigret et lui, et il dégusta
deux petits verres de l’alcool de framboise que sa belle-sœur leur envoyait
d’Alsace.
(©Georges Simenon : L’ami d’enfance de Maigret; Chap.6)

 その夜はメグレ夫人と彼はテレビを見た。彼はアルザスから夫人の妹が送ってくれたフランボヮーズ酒を小さなグラスで2杯味わった。
(#96『メグレの幼な友達』第6章)

∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

*この事件が描かれたのは1960年代の後半のことで、フランスでも日本でもテレビが一般家庭に普及した頃である。原文の主語が「メグレ夫人と彼は」となっているのが面白い。テレビを熱心に見ているのが夫人で、メグレのほうは酒を飲みながらほんやり見ているからだ。

Ils regardèrent < regarder(イルルギャルデール)彼らは見た(単純過去形)

dégusta < déguster(デギュスタ)v.t. 味わった(単純過去形)

deux petits verres(ドゥプティヴェール)小さなグラスで2杯(deux には2だけでなく「ちょっと、少し」の意味もあるので、2~3杯飲んでいるかもしれない。)
イメージ 1

*l’alcool de framboise(ラルコールドゥフランボヮーズ) フランボヮーズの果実酒

日本で言えば「梅酒」と同様に家庭で作る果実酒はフランスでも多種多様だ。
Liqueur maison de framboises とも言う。フランボヮーズのフランの語感がフランスのフランに近いせいか、この果実はフランスで多用されている。


*belle-sœur(ベルスール)義理の妹(アルザスに住んでいる。しばしば話題として登場する。)
*参考リンク:「メグレ警視のパリ」HP内にあるメグレ警視の身元調査で「メグレ夫人の妹に関する記述」