フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(フランス語の tu と vous)旧友と長い年月のあとで再会した時

ー C’est gentil de me recevoir tout de suite… Comment allez-vous ?...
Comment vas-tu ?...
Maigret, lui aussi, éprouvait une certaine peine à le tutoyer après si long-
temps.
ー Et toi ?... Assieds-toi… Comment va ta femme ?
(©Georges Simenon : L’ami d’enfance de Maigret; Chap.1er)

「すぐに通していただいてありがとう。お元気ですか? 元気かい?」
メグレもまた長い年月のあとで親しい口調になるのがちょっと厄介な感じがした。
「で君は?座れよ。奥さんは元気か?」
(#96『メグレの幼な友達』第1章)

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*ある日の午後、メグレのもとに訪ねてきたのは約40年前の高校時代の同級生だった。メグレはフランス中部の小都市ムーランにあるリセ・バンヴィルで学んだという。
イメージ 1

Moulins, Lycée Théodore-de-Banville
La cour du petit lycée au début du
20e siècle; Wikipédia

C’est gentil de(セジャンティ・ドゥ)~してくれてありがとうございます。

recevoir(ルスヴォワール)v.t. 受ける、受け取る、応接する、面会する

tout de suite(トゥドスィト)すぐに、即座に

*Comment allez-vous ?(コマンタレヴ)お元気ですか?
 Comment vas-tu ?(コマンヴァチュ)元気かい?
ただし大勢への呼びかけで「みんなぁ元気?↗」Comment allez-vous tous ? は複数形になると全然改まった言い方ではなくなるのが不思議だ。

éprouvait < éprouver(エプルヴェ)v.t. 感じる、覚える、試す

peine(ペヌ)n.f. 苦労、苦痛、罰

tutoyer(チュトワィエ)君僕で呼ぶ、なれなれしい口調で話す
日本語では主語を省略することが多いが、フランス語では主語が不可欠なので、vous を使うか tu を使うかで、人間関係が大きく変わってくる。上記のくだりでは二人とも vous で言いかけては tu で言い直す場面が何度か出てくる。

après si longtemps(アプレ・シロンタン)かなり長い年月のあとで

Assieds-toi < s’asseoir(アッシトヮ)座りなさい、座れよ(命令形)

Comment va ta femme ?(コマンヴァタファム)奥さん元気か?