フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「その肉汁の中で煮込む⇒放ったらかしにする」

  Il n’avait rien à faire immédiatement, sinon mijoter dans son jus.  Il éprouvait le besoin de se retrouver dans l’atmosphère familière du Quai des Orfèvres, de son bureau, avec quelques-uns de ses hommes.

(©Georges Simenon : Maigret tend un piège; Chap.7) 

 

 彼はすぐには何もすることがなく、放っておかれるしかなかった。パリ警視庁の彼の部屋で、部下の何人かと慣れ親しんだ雰囲気の中にいることが必要だと感じていた。

(#75『メグレ罠を張る』第7章)

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*モンサンの容疑を固めて一件落着と思った矢先、通り魔の新たな被害者が出たと通報が入る。メグレは現場に急行し、捜査関係者たちは落胆した。その夜は警視庁で徹夜となったが、黙考しながら模倣犯の線も考えた。

 

Il n’avait rien à faire immédiatement < avoir(イルナヴェ・リァンナフェール・イメディアトマン)彼はすぐには何もすることがなかった(半過去形)

 

sinon mijoter dans son jus(シノン・ミジョテ・ダンソンジュ)直訳で「その肉汁の中で煮込む」⇒「放ったらかしにする」以外は

*cuire dans son jus(慣用表現)孤立無援の状態にする 

 

Crédit photo : Mijoté de boeuf à la provençale  @la-viande.fr

https://www.la-viande.fr/recettes/boeuf/mijote-boeuf-provencale

 

Il éprouvait le besoin de < éprouver(イル・エプルヴェ・ルブゾワンドゥ)彼は~の必要を覚えた(半過去形)

 

se retrouver dans l’atmosphère familière(スルトゥルヴェ・ダンラトモスフェール・ファミリエール)慣れ親しんだ雰囲気の中にいること

 

du Quai des Orfèvres(デュ・ケデゾルフェーヴル)オルフェーヴル河岸の⇒パリ警視庁の(通称)

 

de son bureau(ドゥソンビュロ)彼の仕事部屋の

 

avec quelques-uns de ses hommes(アヴェク・ケルクザン・ドゥセゾム)彼の部下の何人かと