フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

 言語脳のスイッチ

Il parlait lentement, comme si, après tant d’années, il pensait encore en néerlandais et devait traduire chaque mot.

(©Georges Simenon : Maigret et le fantôme; Chap.4) 

 

彼はゆっくり話していた。何年たってもまだオランダ語で考えていて、単語を一つずつ翻訳しているに違いないかのようだった。

(#89『メグレと幽霊』第4章)

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言語脳のスイッチについては、外国人が日本語を話しているときには、元の母国語から変換しているのだろうと思ってしまう。たとえそうでなくとも翻訳・変換しているように見えてしまう。自分のことに振り返ってみれば、自分が英語脳とか、仏語思考が出来ているとは全く思えないが、単純な応答の場面では、その変換を瞬時に行える習慣が身につけられれば、かなりバイリンガルに近くなるのかも知れないと思う。しかし言語は道具なので、最後はどれだけの時間それを操っていることになるかが問題になる。

 

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Crédit photo : Vue d’un moulin à vent, Pays-Bas; Collection privée

 

Il parlait lentement < parler(イルパルレ)彼はゆっくり話していた(半過去形)

 

comme si(コムシ)あたかも~のように

 

après tant d’années(アプレ・タンダネ)何年たっても

 

il pensait encore en néerlandais < penser(イルパンセ・アンコー・アンネーランデ)彼はまだオランダ語で考えていた(半過去形)

 

et devait traduire chaque mot < devoir(エドヴェ・トラデュイール・シャクモ)そして言葉を一つずつ翻訳しているに違いなかった(半過去形)