フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「足の下の草を刈る⇒ 出し抜く」

ー Nous ne sommes pas riches !  Martin manque d'initiative, ne sait pas se pousser, se laisse couper l’herbe sous le pied par des collègues moins intelligents que lui… Mais devrais-je faire des ménages pour vivre que je ne voudrais pas...

(©Georges Simenon : L’Ombre chinoise; Chap.4) 

 

「私たちは裕福ではないんです!マルタンは自発性がなくて、押しが弱いんです。自分より頭が悪い同僚たちから出し抜かれるままなんですよ。生活のために私はしたくもない家政婦の仕事をしなくちゃいけないんでしょうかね。」

(#13『メグレと死者の影』第4章)

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Nous ne sommes pas riches < être(ヌヌソムパ・リシュ)私たちは裕福ではありません

 

manque d'initiative < manquer(マンク・ディニシアティヴ)自発性が欠けている

 

*ne sait pas se pousser < savoir(ヌセパ・スプッセ)のし上がろうとしない

se pousser  v.pr. 押し進む、のし上がる

 

*se laisse couper l’herbe sous le pied < se laisser(スレッス・クペレルブ・スールピエ)直訳では「足の下にある草を刈るにまかせる」⇒ (慣用表現)出し抜かれるままになる

se laisser  v.pr. されるがままになる

couper l’herbe sous le pied de qn.  ~を出し抜く、抜け駆けする

 

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Crédit d’image : Couper l'herbe sous le pied → Prendre de l'avance sur quelqu'un.

@TV5MONDE Asia Pacific on Twitter (2014.10.18)

https://twitter.com/tv5mondeasia/status/523321797286969345

 

par des collègues moins intelligents que lui(パーデコレーグ・モワンザンテリジャン・クリュイ)彼よりも頭が悪い同僚によって

 

*Mais devrais-je faire des ménages < devoir(メ・ドゥヴレジュ・フェールデメナージュ)でも私は家政婦として働かなければいけないんでしょうよ(条件法現在形)形としては疑問形だが、文末に?が付いていないので「~なんでしょうかね。」という諦めに近いニュアンスで言っているのだと思う。

faire des ménages 家政婦として働く(複数形になった場合に別の意味になる用例)

ménage n.m. 家事、夫婦、世帯

 

pour vivre que je ne voudrais pas < vouloir(プーヴィーヴル・ク・ジュヌヴドレパ)したくもないのに生活のために