フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(こだわりの酒)昼食前のパスティス

ー On a le temps d’avaler un pastis à la Brasserie Dauphine ?

ー Sur le pouce, alors.(---)

  À la brasserie, où ils restèrent debout devant le bar, (---)  Le goût du pastis était exactement ce qu’il fallait un jour comme celui-là.  On en but un, puis un second, un troisième.

(©Georges Simenon : Le revolver de Maigret; Chap.1er) 

 

「ブラッスリ・ドーフィヌでパスティスを一杯やる時間がありますか?」

「それじゃ、ちょっとだけ。」(---)

  ブラッスリで彼らはバーで立ったままだった。 (---) パスティスの味わいはまさにこんな日にうってつけだった。一杯飲むと、次いで二杯目、三杯目になった。

(#67『メグレの拳銃』第1章)

 

∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

 

*メグレが昼食のために家に帰ろうとしたとき、元の部下で今はニース警察に転勤したルールティがひょっこり顔を出して一杯やりましょうと誘った。

 

*On a le temps d’avaler < avoir(オンナルタン・ダヴァレ)飲む時間がある

avoir le temps de ~する時間がある

 

*un pastis à la Brasserie(アンパスティス・アラブラスリ)ブラッスリでパスティスを一杯

pastis n.m. パスティスはアニス風味のリキュールの一つ。南仏で食前酒として飲まれるが、暑い季節になるとパリでも飲む人が多くなる。水で割ると白濁する。

f:id:maigretparis:20200529091148j:plain

Crédit photo : Pastis 51 Léger Rafraîchissant, l’affiche vers 1950

@La Gazette Drouot

gazette-drouot.com

 

*Sur le pouce, alors(シュールプス・アロー)それじゃ、ちょっとだけ(直訳では「親指の上」だが、少量という意味もある)

manger sur le pouce(慣用句)さっと軽く食べる

 

À la brasserie(アラブラスリ)ブラッスリでは

 

où ils restèrent debout devant le bar < rester(ウ・イルレステール・ドゥブー・ドゥヴァンルバー)彼らはバーで立ったままだった(単純過去形)

 

Le goût du pastis était exactement < être(ルグーデュ・パスティス・ゼテ・テグザクトマン)パスティスの味わいはまさに~だった(半過去形)

 

ce qu’il fallait un jour comme celui-là < falloir(スキルファレ・タンジュー・コムスリュイラ)このような日に必要とされたもの(半過去形)⇒ うってつけ

 

On en but un < boire(オンナンビュタン)それを1杯飲んだ(単純過去形)

 

puis un second, un troisième(ピュイザンスゴン・ダントロワジエーム)次いで2杯目、3杯目



*参考再出:(こだわりの酒)気分を変えてパスティス 2018.07.08

https://maigretparis.hatenablog.com/entry/18582209