フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(こだわりの酒)気分を変えてパスティス

ー Pour changer, grommela Maigret, je prendrai un petit pastis.
 Cela lui arrivait rarement. Depuis que son vieil ami Pardon l’avait mis en
garde, il buvait beaucoup moins qu’autrefois (---)
(©Georges Simenon : Maigret et l'indicateur; Chap.4)

「気分を変えてパスティスの小にするよ。」とメグレはつぶやいた。
 それは彼にとってはまれなことだった。旧友の(医師)パルドンに注意されてから、彼は以前よりはかなり控えめに飲むようになった。(---)
(#101『メグレと匿名の密告者』第4章)

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*grommela < grommeler(グロンムレ)口の中でぶつぶつ言う
メグレはつぶやくのが癖で、文中に頻繁にこの grommeler が出てくる。仕事上のつき合いでこういったぶつぶつ言う人物に時々出くわす人は多いと思う。

je prendrai(ジュプランドレ)~にするよ(頻用語:未来形だが現在形の je
prends よりは言い方が柔らかになる)

*un petit pastis(アンプティパスティスパスティスを小グラスで
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pastis  n.m. パスティスは南仏産のリキュールの一種で、特に暑くなってきた頃からアペリティフ(食前酒)として飲むことが多い。アニスの香料が入った独特の風味で、水で割ると白く濁る。

rarement(ラルマン)adv. まれに
Depuis que~(ドゥピュイ・ク) ~して以来

mis en garde < mettre en garde(ミザンギャルド)警戒下に置く、ここでは「健康状態を診察する」

buvait < boire(ビュヴェ)飲む(半過去形)

beaucoup moins que~(ボクゥモヮン・ク)~よりもかなり少なく

autrefois(オートルフォワ)adv. 往時、昔、かつて

*この後には彼のパイプのことについても「火が消えたまましばらく口にくわえることも多くなった」と書かれている。やはり健康が気になる年齢である。


*事件の概容についてはこちらへ #101