フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

メグレ警視の食卓「アンドゥイエット(臓物の腸詰)」

Le patron vint leur serrer la main. (---)
ー Qu’est-ce qu’il y a à déjeuner ?
ー De l’andouillette… Mais si vous préférez un steak...
Andouillette, trancha Maigret.
ー Moi aussi, fit Janvier en écho.
(©Georges Simenon : Maigret et l'indicateur; Chap.4)

店主が挨拶にやってきた。 (---)
「昼メシには何があるの?」
アンドゥイエットです。でももしステーキがよければ…」
「アンドゥイエットにするよ。」とメグレは即断した。
「僕も同じ。」とジャンヴィエが続けた。
(#101『メグレと匿名の密告者』第4章)

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vint < venir(単純過去形)直後に動詞がつくと「~しにやってくる」

serrer la main(セレラマン)握手する。日本なら挨拶はお辞儀だが、フランスではなじみの客には握手にやってくる。

*Qu’est-ce qu’il y a à déjeuner ?(ケスキリヤ・アデジュネ)常用語句「昼食に何がありますか?」他に Qu’est-ce que vous avez aujourd’hui? なども使える。たいていの店では「今日のおすすめ」(Plat du jour) が決まっていて、黒板に書いてある。

si vous préférez un steak(シヴプレフェレ・アンステク)もしあなたがステーキのほうでよければ。ステーキは「ステク」と発音するようだ。

andouillette(アンドゥイエット) そのままが料理の名前。見かけはソーセージだが中身は豚の臓物。太く大きいのは andouille(アンドゥイユ)と言う。フランスのれっきとした伝統料理だが、食べ慣れない日本人には敬遠されがち。在日フランス大使館のHPに紹介記事がある。


trancha < trancher(トランシェ)切る、切断する、決断する

Moi aussi(モヮオッシ)私も同じに。フランスでの昼メシのとき「あ、オレもそれにする」という場合に、この「モヮオッシ」は便利に使える。

en écho(アンネコ)模倣して