フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレと印象的な女性たち)まだあどけなさの残るホステスのブランシュ

Maigret poussa le bouton de sonnerie. Il fallut très longtemps pour qu’une
femme plutôt boulotte, nue sous un peignoir léger, leur entrouvrit la porte.
(---) Elle ne se préoccupait pas de son peignoir qui s’entrouvrait largement.
Elle avait la peau très claire, très douce sans doute.
(©Georges Simenon : Maigret et l'indicateur; Chap.4)
メグレはチャイムのボタンを押した。かなり間を置いて(ホステスの)女というよりも、むしろ丸ぽちゃの女の子が裸の上に薄い部屋着をまとってドアを半開きにあけた。(---) 彼女は部屋着の前が大きくはだけているのを気にとめなかった。おそらくとても透き通るような、柔らかい肌に違いなかった。
(#101『メグレと匿名の密告者』第4章)

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*職務上とはいえ、メグレはさまざまな場面に遭遇する。今回は匿名の密告者ノミ男と同棲しているというホステスの女から連絡を受けて、消息不明となったノミ男の手がかりを探しに家を訪ねる場面である。セクシーな容姿も冷静に受け流す術を心得た描写である。

le bouton de sonnerie(ブトンド・ソヌリ)玄関のチャイムのボタン

Il fallut très longtemps pour que < il faut(イルファリュ・トレロンタン・プゥク)~するのにとても長い時間が必要だった。

plutôt(プリュト)むしろ

boulotte(ブロット)n.f. 丸ぽちゃの女の子
boulot(ブロ)n. m. 仕事、ずんぐりの男、食べもの

*nue sous un peignoir léger(ヌゥスーザン・ペニョワール・レジェ)このまま直訳すると「薄い部屋着の下は裸で」となるが、日本語的には「裸に薄い部屋着をまとって」となる。
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entrouvrit < entrouvrir(アントルーヴリ)少し開ける、半開きにする(単純過去形)
s’entrouvrait < s’entrouvrir(サントルーヴレ)少し開く、半開きになる(半過去形)

se préoccupait < préoccuper de~(プレオキュペ)~を気に留める

largement(ラルジュマン)adv. 幅広く、大きく
peau(ポー)n.f. 肌、皮膚

claire(クレール)a. 明るい、澄み切った

douce(ドゥース)< doux  a. 甘い、心地よい、柔らかい、優しい

sans doute(サンドゥト)疑いもなく、おそらく