フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレの特性)逮捕せずに立ち去る

  Sylvie ne comprenait pas, regardait avec effroi Maigret qui bourrait une nouvelle pipe.

« Restez près d’elle… Quand elle se réveillera, vous lui direz que je suis partie… pour toujours… 

(©Georges Simenon : Liberty Bar; Chap.10) 

 

 シルヴィはわからなかった。パイプを詰め直すメグレを恐れながら見つめていた。

「彼女のそばにいてあげなさい。彼女が目を覚ましたら、私は出て行って二度と戻らない、と言いなさい。」

(#17『リバティ・バー』第10章)

∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

f:id:maigretparis:20200524090402j:plain

*ジャジャの容疑は痴情による傷害致死と考えられたが、メグレは余命幾許もない彼女を逮捕せずに立ち去る。メグレがしばしば容疑者に「あんたは愛していたのか?」(Vous l’aimiez ?) と訊ねることがある。まるでそれが真偽の尺度であるかのようだが、まさにジャジャは彼を愛していたのだ。シルヴィが持っていた2万フランの札束も返す。

 

ne comprenait pas < comprendre(ヌコンプルネパ)わからなかった(半過去形)

 

regardait avec effroi < regarder(ルギャルデ・タヴェク・エフロワ)恐れながら見つめていた(半過去形)

 

qui bourrait une nouvelle pipe < bourrer(キブーレ・チュヌヌーヴェルピプ)新たにパイプを詰めていた(半過去形)

 

Restez près d’elle < rester(レステ・プレデル)彼女のそばにいなさい(命令形)

 

Quand elle se réveillera < se réveiller(カンテルス・レヴェィエラ)彼女が目を覚ましたら(単純未来形)

 

vous lui direz que < dire(ヴリュイディレ・ク)彼女に~だと言いなさい(単純未来形=軽い命令)

 

je suis partie… pour toujours < être, partir(ジュシュイパルティ・プートゥジュー)私は立ち去って 二度と戻らない