フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレの日常)春の最初の日(プランタン)

  Le lendemain était un samedi, le 22 mars… La veille, Maigret n’avait pas pensé que c’était le premier jour du printemps.  Celui-ci avait été au rendez-vous.

(©Georges Simenon : Maigret et le tueur; Chap.5) 

 

 翌日は3月22日、土曜日だった。前日にはメグレは今日が春分の日だと思っていなかった。この日を心待ちにしていたのだ。

(#97『メグレと録音マニア』第5章)

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*まったくの偶然だが、メグレの本で今読んでいる部分が現実の暦の上での日付と一致することが起きた。(さすがに曜日は違ったが・・・)

 

Le lendemain était un samedi < être(ルランドマン・エテ・タンサムディ)翌日は土曜日だった(半過去形)

 

La veille(ラヴェィユ)前日には

 

n’avait pas pensé que < avoir, penser(ナヴェパ・パンセ・ク)~だと考えていなかった(大過去形)

 

*c’était le premier jour du printemps < être(セテ・ルプルミエ・ジュール・デュプランタン)それは春の最初の日だった(半過去形)

*フランスでは「春」を宣言する日がある。「春の最初の日」le premier jour du printemps.つまり春分の日(エキノクス équinoxe)のことだが、佛教国の日本ではほとんど墓参りの日と見なされているのに比べると、もっと季節の到来を喜ぶ日であるようだ。ちょうど日本で騒がれる「桜の開花宣言の日」に精神的には通じるところがある。例文とは違って今年は世界的に3月20日だった。

 

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Crédit d'image : ©My TF1 journal télévisé de 13h

En Touraine, les habitants profitent du premier jour de printemps

https://www.tf1.fr/tf1/jt-13h/videos/en-touraine-les-habitants-profitent-du-premier-jour-de-printemps-47272748.html

 

Celui-ci avait été au rendez-vous < avoir, être(スリュイシ・アヴェテテ・オーランデヴー)この日を心待ちにしていたのだ(大過去形)

 

***蛇足のコメント:春の到来を歌う好きなオペラ・アリアがある。サン=サーンスの《サムソンとデリラ》の中の「春が始まると」(Printemps qui commence) である。メゾのグレイヴスの声は深みがあって、怪力のサムソンをたらし込むほどの悪女の魅力がある。

 

Youtube : Samson et Dalila, Op.47, Act 1 Scene 6: "Printemps qui commence" (Dalila) Denyce Graves (MS)

https://www.youtube.com/watch?v=NvM_Q2IpHyg

 

※Sibaccio notes という Blog 内にある『演奏するサン=サーンス』 の一連の記事がなかなか読みごたえがあります。来年(2021)は彼の没後百年の記念の年になるので、その頃には何かイベントが出来たらいいですね。

https://sibaccio.blogspot.com/p/ss.html