フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「人は決して知らない(オヌセジャメ)⇒ 何が起きるかわからない」

 ー Écoutez, commissaire, je crois que vous feriez mieux de venir bavarder un moment avec moi.  Je ne suis pas sûr que cela en vaille la peine, car je ne sais pas grand-chose.  Réflexion faite, il est préférable que nous ne nous rencontrions pas ici.  On ne sait jamais.

(©Georges Simenon : Maigret, Lognon et les gangsters; Chap.6) 

 

「いいですか、警視。ちょっと雑談しに来ていただくほうがいいと思うんですよ。私は大したことは知らないんでそれだけの価値があるかどうかはわかりませんけどね。よく考えてみると、ここでは会わないほうがいいいですね。何が起きるかわかりませんから。」

(#66『メグレと生死不明の男』第6章)

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Crédit photo : On ne sait jamais ! - août, 2001

Album de Patrick Benson et Max Eilenberg @Amazon.fr

 

*競馬関係の米国人の情報収集を指示したバロン刑事からはまったく連絡が入らないので、彼にも危害が及んではいないかと気がかりになった。彼もおそらくマンハッタン・バーに顔を出したはずなので、メグレは店主のルイジに電話をかけ、詳しく話を聞こうとする。ルイジは話をするなら別の場所がいいと言う。

 

Écoutez, commissaire < écouter(エクテ・コミセール)いいですか、警視

 

je crois que < croire(ジュクロヮ・ク)私は~と思う(現在形)

 

vous feriez mieux de venir bavarder < faire(ヴフリエミュー・ドゥヴニール・バヴァルデ) あなたは雑談しに来た方がいいでしょう(条件法・現在形)

 

un moment avec moi(アンモマン・タヴェクモワ)ちょっと私と  

 

Je ne suis pas sûr que < être(ジュヌシュイパ・シューク)私は~が確かではない

 

*cela en vaille la peine < valoir(スラアンヴァーユ・ラペーヌ)それだけの価値があるとは(接続法・現在形)

valoir la peine de +inf. ~するだけの価値がある

peine n.f. 苦労、労力、苦痛、処罰

 

*car je ne sais pas grand-chose < savoir(キャー・ジュヌセパ・グランショーズ)なぜなら私は大したことは知らないので  

**grand-chose n. 大したこと、大したもの(否定形でのみ使用する)慣用成句なので grand は女性名詞の前でも変化していない



Réflexion faite < faire(レフレクシォンフェット)よく考えてみると、熟考の末(成句)

 

il est préférable que < être(イレ・プレフェラブル・ク)~が望ましい

 

nous ne nous rencontrions pas ici < rencontrer(ヌーヌ・ヌーランコントリオン・パジシ)ここでは会わない方が(条件法・現在形)

 

On ne sait jamais < savoir(オヌセジャメ)何が起きるかわからない、まさかということもある、ありえないことではない(頻用・慣用句)フランス人の口ぐせの一つ。

 

**往年のシャルル・アズナヴールの同名のヒット曲も有名だ。

Charles Aznavour - On ne sait jamais

 
2) Charles Aznavour - On Ne Sait Jamais

https://www.youtube.com/watch?v=00uhlE8i9eU