フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

 フランス語の慣用表現「シャツの腕で⇒ ワイシャツ姿で」

  S’il avait fait un peu chaud, il aurait retiré son veston, pour être en bras de chemise, comme les gens qui bricolent le dimanche, car c’était justement de bricoler qu’il avait envie.

(©Georges Simenon : L’Amie de Mme Maigret; Chap.7) 

 

 もう少し暑かったなら、彼は日曜大工をする人のように、背広を脱いでワイシャツ姿になっていただろう。というのも彼がやりたかったのはまさに捜査の修繕だった。

(#60『メグレ夫人と公園の女』第7章)

 

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S’il avait fait un peu chaud < avoir, faire(シルザヴェフェ・タンプーショー)もしもう少し暑かったなら(大過去形)

 

il aurait retiré son veston < avoir, retirer(イローレ・ルチレ・ソンヴェストン)彼は背広を脱いでいただろう(条件法・過去形)

 

*pour être en bras de chemise(プーエートル・アンブラドゥシュミーズ)ワイシャツ姿になるために

 

*往時は男の背広一式とは三つ揃え、つまり上着、ズボン、チョッキをさしていた。少し暑くなると上着を脱いでチョッキ姿で仕事をする。この時、両腕だけがワイシャツになるので「シャツの腕で」(en bras de chemise)という言い方が出たのが最初のようだ。現在ではチョッキはあまり流行らなくなった。上着を脱げばワイシャツ姿なので、下掲のマクロン氏についても en bras de chemise と言っている。袖をまくるかどうかの表現は今のところ見つからない。どちらでもいいようだ。

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Crédit photo : Macron en bras de chemise en une du Time

https://www.courrierinternational.com/

マクロン氏がワイシャツ姿でタイム誌の表紙に

 

comme les gens qui bricolent le dimanche < bricoler(コムレジャン・キブリコル・ルディマンシュ)日曜大工をする人のように

 

car c’était justement de bricoler < être(キャーセテ・ジュストマン・ドゥブリコレ)というのもまさに修繕をすることだった(半過去形)ここでは進展が見られない捜査について、情報を洗い直す作業を指している

 

qu’il avait envie < avoir(キラヴェタンヴィ)かれがやりたかったのは(半過去形)