フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「愛は言葉で言い表せない」

ー Vous l’aimez ?

Ce mot-là ne veut rien dire.  Il en faudrait un autre, un mot fait exprès, qui n’existe pas.

(©Georges Simenon : L’Amie de Mme Maigret; Chap.2) 

 

「彼を愛しているのか?」

その言葉を言っても何にもならないわ。それにふさわしい他の言葉が必要なの。でもそんなのないのよ。」

(#60『メグレ夫人と公園の女』第2章)

 

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*メグレの訊問の中で「彼を愛しているのか?」という質問は結構頻繁に出てくる。場合によっては男女間の感情を反映する答えが出てくることもあるからだ。

容疑者の妻フェルナンドは夫の無実を固く信じているが「愛は言葉では言えない」と、文学的な返答をする。

 

Vous l’aimez ? < aimer(ヴレメ)あなたは彼を愛しているか?

 

*Ce mot-là ne veut rien dire < vouloir(スモラ・ヌヴーリァンディール)その言葉は何も言おうとしない⇒ その言葉を言っても何にもならない。(物が主語となる表現)

 

Il en faudrait un autre < falloir(イランフォードレ・タンノートル)それには他のものが必要だろう(条件法・現在形)

 

un mot fait exprès(アンモ・フェテクスプレ)おあつらえの言葉、ふさわしい言葉

 

qui n’existe pas < exister(キネグジストパ)存在しない