フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「神の愛のために⇒ お願いだから」

» Enfin, à force de patience, j’ai pu comprendre que Gérard était allé chez sa sœur… Il était comme fou… Il voulait de l’argent tout de suite…(---)

» ー Tu l’apprendras demain par les journaux… Pour l’amour de Dieu, donne-moi tout ce que tu as... 

(©Georges Simenon : Cécile est morte; Chap.4 de 2e Partie) 

 

「結局、辛抱強く聞き出すと、ジェラールが妹のところに行ったことがわかりました。彼は気が狂ったようになっていて、すぐに金が欲しいと言いました。(---)

『明日の新聞を見ればわかるよ。お願いだから今持ってる金を全部くれないか。』(#41『セシルは死んだ』第2部・第4章)

 

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Crédit photo : Affiche de “Pour l'amour de Dieu”

un film québécois de Micheline Lanctôt, sorti en 2011.

 

à force de patience(アフォースドゥパシァンス)直訳では「忍耐の力で」⇒辛抱強く

 

j’ai pu comprendre que < avoir, pouvoir(ジェピュ・コンプランドルク)私は理解することができた(複合過去形)

 

était allé chez sa sœur < être, aller(エテタレ・シェサスール)彼の妹のところに行っていた(半過去形)

 

Il était comme fou < être(イレテ・コムフー)彼は気が狂ったようだった(半過去形)

 

Il voulait de l’argent tout de suite < vouloir(イルヴレ・ドゥラルジャン・トゥドシュィト)彼はすぐに金が欲しいと言った(半過去形)

 

Tu l’apprendras demain par les journaux < apprendre(チュラプランドラ・ドゥマン・パーレジュルノー) お前は明日新聞でそのことを知るだろう(単純未来形) 

 

Pour l’amour de Dieu(プーラムールドゥデュー)直訳では「神の愛のために」だが、慣用句として「何とかしてほしい」「どうしても~」などの願望・要望を訴えるための「お願いだから」というニュアンスになる。これを口に出せるのは宗教者ではなくとも、キリスト教の習慣が根付いた人々なら自然に使えるだろうと思う。Mon Dieu !(モンデュー)英語で Oh, my God ! 「何てこった!」も同様だ。 

 

donne-moi tout ce que tu as < donner(ドヌモヮ・トゥスク・チュア)お前の持っているすべてをよこしてくれ(命令形)