フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「おかしな拳銃⇒ 変な奴」

ー C’est un drôle de pistolet, patron…  Un petit bonhomme vêtu d’un imper-
méable, avec un chapeau gris, des souliers noirs…  Il est entré en coup de
vent aux Caves du Beaujolais et s’est précipité vers la cabine en criant au
marchand de vin : « Servez-moi ce que vous voudrez...»
(©Georges Simenon : Maigret et son mort; Chap.1er)

「警視、変な奴ですよ。小太りの男で、レインコートを着て、灰色の帽子をかぶり、黒い靴をはいていたそうです。彼は《ボージョレの酒蔵》の店に飛び込んできて、電話ボックスに向かって急ぐと、店主に『何でもいいから出してくれ。』と叫んだんです。」
(#55『メグレと殺人者たち』第1章)

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*男からの異様な電話を受けたメグレは、発信元とされるセーヌ川の左岸にあるカフェバーまでジャンヴィエに様子を見に行かせた。その報告1。

*C’est un drôle de pistolet(セタン・ドロルドゥピストレ)変な奴ですよ。
un drôle de ~で「変な、おかしな~」という形容詞的な用法になっている。pistoletは、近世の時代に特に評判が良くなかったドイツ人傭兵が鉄砲を持っていたのを指して使われた言い方らしい。
イメージ 1

Crédit photo : Garfield -23
Garfield est un drôle de pistolet
©Jim Davis @Bédéthèque
www.bedetheque.com

Un petit bonhomme(アンプチ・ボノム)小太りの男

vêtu d’un imperméable(ヴェチュ・ダン・ナンペルメアブル)レインコートを着た

avec un chapeau gris(アヴェカン・シャポーグリ)灰色の帽子をかぶって

des souliers noirs(デスーリエ・ノヮール)黒い靴をはいた

Il est entré < entrer(イレ・タントレ)彼は入った(複合過去形)

en coup de vent(アンクー・ドゥヴァン)突風のように、いきなり、なりふり構わずに

s’est précipité vers la cabine < se précipiter(セプレシピテ・ヴェーラキャビヌ)電話ボックスのほうに急いだ(複合過去形)

en criant au marchand de vin < crier(アンクリアン・オーマルシャン・ドゥヴァン)ワイン商人に向かって叫びながら(現在分詞)

*Servez-moi ce que vous voudrez < servir, vouloir(セルヴェモヮ・スク・ヴヴドレ)あなたが望むだろうものを私に供してください⇒何でもいいから私に出してくれ(単純未来形)