フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「表か裏か⇒ 一か八か」

 Il jouait à pile ou face.  C’était sa dernière démarche.  Si la quincaillerie était
fermée, il ne se donnerait pas le mal d’y revenir, en dépit des Ernestine et des
Alfred-le-triste.  Qu’est-ce qui prouvait qu’Alfred avait réellement pénétré dans
la maison de la rue de la Ferme ?
(©Georges Simenon :Maigret et la Grande Perche; Chap.4)

 彼は一か八か賭けることにした。これが最後の手づるだった。もし金物屋が閉まっていたら、エルネスティーヌや寂しいアルフレッドがどうであろうと、わざわざ出直す気にはならなかっただろう。アルフレッドが実際にフェルム街の家に忍び込んだことは何をもって明かせるのだろうか?
(#65『メグレと消えた死体』第4章; 原題は「メグレとのっぽの女」)

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*Il jouait à pile ou face < jouer(イルジュエ・タピル・ウファス)直訳では「裏か表かを賭けた」になる。裏が先なのは単に語感上の原因と思われる。(半過去形)現在ではサッカーの試合の最初にコイントスをして、コインの表裏でボールの支配権を決めるように、欧米ではじゃんけんがないので、物事を決める主な手段になっている。
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Crédit photo : Pile ou face,
Journal d’un terrien, weblog
©sboisse.fr

*C’était sa dernière démarche
(セテ・サデルニエール・デマルシュ)これが彼の最後の手づるだった。(半過去形)
démarche  n.f. 足取り、手続き、段取り

quincaillerie(カンカィユリ)n.f. 金物屋、雑貨屋

*il ne se donnerait pas le mal de(イルヌ・スドヌレパ・ルマルドゥ)わざわざ~する気にならなかっただろう(条件法)
se donner le mal de ~(スドネ・ルマルドゥ)あえて~する、わざわざ~する
se donner la peine de ~ も同じ意味で使う。

y revenir(イルヴニール)そこにもう一度来る、出直す

en dépit des(アンデピ・デ)~にかかわらず、~がどうであろうと(なぜ
des なのか?は今のところわかりません。)

Qu’est-ce qui prouvait que < prouver(ケスキ・プルヴェク)何が~を証明したというのか?(半過去形)誰がの場合は Qui est-ce qui