フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「 i の文字の上に点をつける⇒ 念を押す」

ー Marcellin s’est dit que, puisque vous étiez deux à gagner gros sur le dos
de la vieille, il n’y avait pas de raison qu’il n’y en eût pas un troisième.  Il vous
l’a fait comprendre. Vous n’avez pas marché. Alors, histoire de mettre les
points sur les i, il s’est mit à parler de son ami Maigret.
(©Georges Simenon : Mon ami Maigret; Chap.9)

 

マルスランは、あんたら二人が婆さんの背中に乗って大金を稼ぐからには、三人目が乗らないという理由はないと考えたのさ。彼はわからせようとしたが、あんたらは真に受けなかった。そこで念を押すために友だちのメグレの話を始めたわけだ。」
(#57『メグレ式捜査法』第9章; 原題は「わが友メグレ」)

 

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s’est dit que < se dire(セディク)心に思う、自分に言う、自称する、考える

 

*puisque vous étiez deux à gagner gros < être(ピュイスク・ヴゼティエ・ドゥザ・ガニェグロ) あなた方二人で大金を稼いでいたというからには(半過去形)
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puisque conj. ~であるから、である以上

 

il n’y avait pas de raison que ~(イルニャヴェパ・ドゥレゾン・ク)~という理由はなかった(半過去形)

 

qu’il n’y en eût pas un troisième < avoir(イルニャンヌゥパ・ザントロヮジェーム)そこに三人目がいなくともという(接続法・半過去形).  

 

Il vous l’a fait comprendre < faire(イルヴラフェ・コンプランドル)彼はあなた方にそれをわからせようとした(複合過去形)

 

Vous n’avez pas marché(ヴナヴェパ・マルシェ)あなた方は真に受けなかった(複合過去形)marcher v.i. 歩く、前進する、動く、真に受ける

 

mettre les points sur les i(メトル・レポワン・シューレ・イ)直訳で「 i の文字の上に点をつける」⇒「念入りに説明する」「ダメ押しをする」
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特に手書きで文章などを書く場合に、長い単語を書き終えた後に i の上の点を打つ手間が妙にかかる感じ。
 
Crédit photo : Dans mes parages -
 
*il s’est mit à parler de < se mettre à(イルセミ・タパルレ・ドゥ)彼は~のことを話し始めた(複合過去形)se mettre à ~し始める、~しだす