フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「自分の鼻を折る⇒ 挫折する」

ー Si je peux vous donner mon avis, ce n’est pas un type capable de tuer…
Qu’il ait commis quelques indélicatesses, je ne dis pas…(---) Il a sans cesse
de nouveaux projets et je suis persuadé qu’il y croit… Ses idées ne sont pas
toujours mauvaises… Alors, il s’emballe et il se casse le nez
(©Georges Simenon : L’ami d’enfance de Maigret; Chap.4)

「もし言わせてもらえるなら、人を殺せるようなタイプじゃないですよ。いくらかやましいことをやったとしても、そこまではね。(---) 彼は絶えず新しい計画を持っていて、それができると思っていたのは確かだね。彼のアイデアはいつもダメという訳ではないんだが、そこで夢中になって失敗するんだ。」
(#96『メグレの幼な友達』第4章)

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avis(アヴィ)n.m. 意見、見解
à mon avis(アモナヴィ)私の見たところでは(頻用句)

type(ティプ)n.m.  タイプ、類型、型式、典型

capable de tuer(カパブルドゥチュエ)人を殺せるような

Qu’il ait commis < commettre(キルレコミ)過ちを犯す(接続法現在形)

indélicatesse(アンデリカテス)n.f. やましい行為、不正直、粗野、思いやりのなさ

je ne dis pas(ジュヌディパ)~まではまだしも(文の途中でこのままで使う慣用句)

sans cesse(サンセス)絶えず

nouveaux projets(ヌーヴォプロジェ)新しい計画

je suis persuadé que(ジュスィペルシュアデ・ク)~を確信している(頻用句)

il s’emballe < s’emballer(イルサンバル)夢中になる、熱狂する

*se casser le nez(ス・カッセルネ)失敗する、挫折する
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鼻 nez にまつわる慣用句は非常に多い。昔実在した剣客で詩人のシラノ・ド・ベルジュラック(Cyrano de
Bergerac, 1619-1655) は、自分の鼻の大きさをいつも気にしていて、誰かが鼻 nez の入った言葉をうっかり口にしたら、怒って大暴れしてしまうということがあった。
Crédit photo : ©MUSEM - Musée des civilisations et de la Méditerranée, Marseille