フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレの脇役)トーランスをお前呼ばわりしない

ー À vous, Torrence...

  Il ne le tutoyait pas, bien qu'il le connût depuis beaucoup plus longtemps que Lapointe.  Il est vrai que celui-ci avait plutôt l'air d'un jeune étudiant que d'un inspecteur de police.

(Georges Simenon : Maigret et les braves gens; Chap.3) 

 

「トーランス、あんたの方は?」

 メグレは彼をお前呼ばわりしなかった。たしかにラポワントよりもずっと前から彼のことを知っていたのだが、この人物に刑事というよりも若い学生の雰囲気があるのは本当だった。

(#85『メグレと善良な人々』第3章)

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*メグレの部下の中では、トーランスは第1作から登場しているが、これは殉職するので、後期のメグレでは同名異人の2代目ということになる。TV映画のブリュノ・クレメール版では、やや体格のいい真面目でインテリな風貌で、原作以上に登場して存在感がある。時には手抜き感のある仕事ぶりなのだが憎めない。メグレが「お前」とは呼ばないことは、ここで初めて知った。

 

Crédit d’image : L’écran sur Youtube 

Téléfilm #8 “Maigret se défend" avec Bruno Crémer

1993.05 © Dune / France2 

 

À vous(アヴー)あなたの方は

 

Il ne le tutoyait pas < tutoyer(イルヌル・チュトワィエパ)メグレは彼をお前呼ばわりしなかった(半過去形)

 

bien qu'il le connût < connaître(ビァンキルルコニュ)彼を知っていても(接続法・半過去形)

 

depuis beaucoup plus longtemps que(ドピュイ・ボクープリュロンタン・ク)~よりもずっと前から

 

Il est vrai que < être(イレヴレク)~は本当である(現在形)

 

celui-ci avait plutôt l'air de < avoir(スリュイシ・アヴェプリュト・レードゥ)この人物がどちらかというと~の雰囲気を持っていた(半過去形)

 

un jeune étudiant(アンジューネテュディアン)若い学生

 

que d'un inspecteur de police(ク・ダンナンスペクトゥー・ドゥポリス)刑事というよりも