フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレの特性)二日酔いのメグレ

  Il ne se souvenait pas avoir eu un tel mal de tête en s’éveillant, ce qui signifiait qu’il avait beaucoup bu.  Cela lui était rarement arrivé de rentrer ivre et, ce qui le vexait le plus, c’est qu’il n’avait pas eu conscience de boire.

(©Georges Simenon : Maigret et le corps sans tête; Chap.8) 

 

 彼は目が覚めてこれほど頭痛がした覚えがなかった。それは飲み過ぎを意味した。酔っ払って帰宅することなど彼にはまれにしか起きなかった。そして最も彼の気分を害したのは、飲んだという意識がなかったことだった。

(#74『メグレと首無し死体』第8章)

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*メグレは前夜公証人と話をしながら飲み歩いて、飲み過ぎてしまう。文中では「まれなこと」と書いているが、全事件簿の中を見渡しても結構頻度が高い。「飲まずにはいられない」という心境も働いているのだろうと思う。

 

 

Il ne se souvenait pas < se souvenir(イルヌス・スーヴネパ)彼は思い出せなかった(半過去形)

 

avoir eu un tel mal de tête < avoir(アヴォワールウ・アンテル・マルドゥテト)これほど頭痛がしたこと

 

en s’éveillant < s’éveiller(アンセヴェイヤン)目覚めながら(現在分詞)

 

ce qui signifiait que < signifier(スキシニフィエ・ク)それは~を意味した(半過去形)

 

il avait beaucoup bu < avoir, boire(イラヴェ・ボクービュ)彼が飲み過ぎていた(大過去形)

 

Cela lui était rarement arrivé de < être, arriver(スラリュイエテ・ラルマン・アリヴェドゥ)それはまれにしか起きなかった(半過去形)

 

rentrer ivre(ラントレ・イヴル)酔って帰宅する

 

ce qui le vexait le plus < vexer(スキルヴェクセ・ルプリュ)最も彼の気分を害したこと(半過去形)

 

c’est que < être(セク)それは~だ

 

il n’avait pas eu conscience de boire < avoir, avoir(イルナヴェパウ・コンシァンス・ドゥボワール)飲んだ意識がなかった(大過去形)




**事件の概容についてはこちらへ

https://maigretparis.web.fc2.com/enquetes/maig74sanstete.html




**参考サイト:「いるすか」メグレ~運命の修繕人(感想文)

https://irusuka.sakura.ne.jp//maigret/maigret02.html#sanstete