フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(フランス語警察用語)彼らの間に何事もなかった

ー La chambre ?

ー Aucune trace de Lognon.  Pas un de ses cheveux sur l’oreiller, mais un cheveu de femme.  Pas la moindre parcelle de boue non plus, bien que, à ce qu’on m’a dit, Lognon soit arrivé avenue Junot par une pluie battante... (---)

ー Je jurerais, vois-tu, qu’il n’y avait rien entre eux 

(©Georges Simenon : Maigret et le fantôme; Chap.3) 

 

「寝室は?」

「ロニョンの痕跡なしです。枕には女の髪の毛以外、彼の髪の毛は一本もないです。ロニョンが土砂降りの中、ジュノ通りにやって来たと言っていたのに、泥の欠片さえもありません。」 (---)

「見ての通り、彼らの間には何事もなかったと思うよ。」

(#89『メグレと幽霊』第3章)

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*部屋の状態を鑑識課のムルスたちに調べさせた結果、ロニョンは窓際の部屋の椅子からほとんど動いていないことがわかった。彼の訪問の目的は、恋の冒険ではなかったのだ。

 

La chambre(ラシャンブル)n.f. 部屋、寝室

 

Aucune trace de(オーキュヌ・トラスドゥ)~の痕跡が全くない

 

Pas un de ses cheveux sur l’oreiller(パザンドゥ・セシュヴー・シューロレィエ)枕には彼の髪の毛一本もない

 

mais un cheveu de femme(メザンシュヴー・ドゥファム)しかし女の髪の毛

 

Pas la moindre parcelle de boue non plus(パラ・モワンドル・パーセルドゥブー・ノンプリュ)泥のちょっとした欠片さえもない

 

bien que, à ce qu’on m’a dit < avoir, dire(ビァンク・アスコンマディ)人が私に言ったことであっても

 

soit arrivé avenue Junot < être, arriver(ソワタリヴェ・アヴニュ・ジュノ)ジュノ通りにやって来た(接続法・複合過去形)

 

par une pluie battante(パーユヌプリュイ・バッタント)土砂降りの雨の中を

 

Je jurerais, vois-tu, que < jurer, voir(ジュジュルレ・ヴォワチュ・ク)見ての通り私は~だと思う(条件法・現在形:控えめな表現)

 

il n’y avait rien entre eux < avoir(イルニャヴェ・リァン・アントルウー)彼らの間には何もなかった(半過去形)