フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレの日常)朝までぐっすり

 Maigret dîna chez lui. Cette nuit-là, sa femme ne souffrit pas et il dormit
d’une traite jusqu’à sept heures et demie.  On lui apporta, comme toujours,
une tasse de café au lit. (---)
 Il venait d’entrer dans la salle de bain quand la sonnerie du téléphone retentit.  Il entendit sa femme qui répondait :
ー Oui… oui… Un instant, M. Lapointe…
 Cela signifiait la catastrophe.
(©Georges Simenon : Un échec de Maigret; Chap.2)

 メグレは自宅で夕食を取った。この夜、妻は歯の痛みがなく、彼は7時半までぐっすり眠った。いつものようにベッドにコーヒーが運ばれてきた。(---)
 彼が浴室に入ったばかりのところで電話のベルが鳴った。妻が返事をしているのが聞こえた。
「はい、はい、ラポワントさん、ちょっとお待ちください。」
 それは大事件を意味していた。
(#76『メグレの失態』第2章)

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Maigret dîna chez lui < dîner(メグレ・ディナ・シェリュイ)メグレは自宅で夕食を取った(単純過去形)

sa femme ne souffrit pas < souffrir(サファム・ヌスフリパ)彼の妻は(歯が)痛まなかった(単純過去形)

*dormit d’une traite < dormir(ドルミ・デュヌトレト)ぐっすり眠った(単純過去形)d’une traite 一気に、休まずに traite  n.f. 手形、交易、行程、道のり

comme toujours(コムトゥジュー)いつものように

*On lui apporta une tasse de café au lit < apporter(オンリュイ・アポルタ・ユヌタス・ドゥカフェ・オリ) ベッドに一杯のコーヒーを持ってきた(単純過去形)

イメージ 1
メグレの家には二人しかいないのだから、メグレにコーヒーを持って来るのは夫人だけなのに、ここでは主語を言いたがらない場合の on を使っている。毎日の習慣だからだろうか?

フランスでは朝はカフェオレを飲むのが一般的で、しかもベッドで寝覚めの一杯といった感じで、le café au lait au lit(ル・カフェオレ・オリ)とよく言われている。

Crédit photo : Lécran d’ Youtube

Il venait d’entrer < venir(イルヴネ・ダントレ)彼は入ったばかりだった(半過去形)

quand la sonnerie du téléphone retentit < retentir(カン・ラソヌリ・デュテレフォヌ・ルタンティ)そのとき電話のベルが鳴った(単純過去形)

Il entendit sa femme qui répondait < entendre, répondre(イランタンディ・サファム・キレポンデ)彼の妻が返事をしているのが聞こえた(単純過去形+半過去形)

Cela signifiait < signifier(スラ・シニフィエ)それは~を意味していた(半過去形)

la catastrophe(ラカタストロフ)n.f.  大事故、大惨事、大事件


**事件の概容についてはこちらへ #76