フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレ美術館)ルーヴルにあるクルーエの肖像画

ー (---) la dame raconte à son amie (---) que son mère ressemble à je ne sais
plus quelle peinture du Louvre.  Je peux vous dire le nom de peintre. (---)
Un Clouet.  Il est tout le temps question de peinture dans ses lettres.  
Quand elle parle du temps qu’il fait, elle cite Monet ou Renoir.
(©Georges Simenon :Maigret et la Grande Perche; Chap.6)

「このご婦人は友だちに(---) 彼の母親がルーヴル美術館にある私もよく知らない絵に似ていると(手紙で)語っています。その画家の名前は言えますよ。(---) クルーエとかです。彼女の手紙にはどんな時でも絵画のことが出てきます。天候を話すときもモネやルノワールを引き合いに出しています。」
(#65『メグレと消えた死体』第6章; 原題は「メグレとのっぽの女」)

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*被害者はオランダ出身で、アムステルダムの親友に多くの手紙を書いていた。メグレはそれらの手紙を送ってもらい、翻訳家を介して分析することにした。その説明にはすべて現在形を使っている。

la dame raconte à son amie < raconter(ラダーム・ラコントアソナミ)その婦人は友人に語っている

ressemble à < ressembler(ルサンブル・ア) ~に似ている

je ne sais plus quelle peinture du Louvre(ジュヌセプリュ・ケルパンチュール・デュルーヴル)ルーヴル美術館のどの絵画が私は知らない

*Un Clouet(アン・クルーエ)クルーエという人(固有名詞に un / une がつく場合にはいくつかの特有なニュアンスがある)Clouet は画家の一族の名前で、美術史上何人か輩出しているが、一番有名なのはフランソワ・クルーエ
(François Clouet, v.1510 - 1572) である。宮廷画家としてフランソワ1世をはじめ、フランス・ルネサンス期の王侯貴族の肖像画を描いている。
イメージ 1

Crédit photo : François Clouet - portrait de
Claude de Beaune de Semblancay,
Paris, Musée du Louvre
@Wikimédia commons

*Il est tout le temps question de(イレトゥルタン・ケスチォンドゥ)どんな時でも~が関わっている(il は非人称) il est question de ~

*Quand elle parle du temps qu’il fait < parler(カンテルパルル・デュタン・キルフェ)彼女が天候について話すとき( il fait ~ は天候について話す非人称構文)

elle cite Monet ou Renoir < citer(エルシト・モネ・トゥ・ルノワール)彼女はモネやルノワールに言及している