フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(こだわりの酒)胡散臭い旧友とビール

Il avait chaud. Il avait soif. Il se sentait las, mécontent de lui et des autres.
En quittant la cour, il hésita, finit par pousser son ancien camarade dans le
bureau de tabac.
Deux demis, commanda-t-il.
ー Tu me crois ?
ー Nous en reparlerons tout à l’heure...
(©Georges Simenon : L’ami d’enfance de Maigret; Chap.2)

彼は暑かった。のどが渇いていた。くたびれた感じがした。自分と他の人間たちに面白くなかった。
中庭から出ると、彼はちょっとためらったが、結局旧友の背中を押してタバカフェに入り、注文した。
「ビール2つ」
「俺を信じてくれるか?」
「そのことはあとで話そう。」
(#96『メグレの幼な友達』第2章)

∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

Il avait chaud. < avoir chaud(イラヴェショー)暑い(半過去形)
Il avait soif. < avoir soif(イラヴェスヮフ)喉が渇く(半過去形)
Il se sentait las < se sentir(イルスサンテラ)疲れた感じがする(半過去形)

mécontent(メコンタン)adj. 不満な、 面白くない

En quittant(アンキッタン)離れながら

cour(クール)n.f. 中庭

hésita < hésiter(エジタ)ためらう(単純過去形)

finit par < finir(フィニパー)結局~する(単純過去形)~することによって終わるという意味

pousser(プセ)押す

ancien camarade(アンシァン・カマラド)昔のクラスメート

イメージ 1
*bureau de tabac(ビュロドゥタバ)たばこ販売店、タバコ屋、タバカフェ

参考画像:Tabac-Brasserie, rue Pierre Fontaine
Paris 9e ©Google Street-view

bureau(ビュロ)n.m.というと事務所のような固いイメージだが、その理由はもともとタバコが政府専売品で、その売捌き所を意味していたから。日本でも昔から町角にタバコ屋の店があったのと同じ。
イメージ 2

フランスではカフェ・バーが併設されているのが普通で、タバコのほかに収入印紙や切手、宝くじ、場外馬券などの取り扱いもしており、新聞や雑誌も売っている。普通のカフェ・バーとの違いは、店の建物に TABAC の赤い看板が掛かっているか否かにある。

demi(ドゥミ)元々半リットル入ったグラスのビール

Tu me crois ? < croire(チュムクロワ↗)俺を信じてくれるか?

Nous en reparlerons < reparler(ヌザン・ルパルルロン)改めて話そう(未来形)

tout à l’heure(トゥタルー)あとで、少し後で、なるべくすぐに