フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「その上に手を置く⇒つかまえる」

ー Il s’appelle Victor et il est connu dans le quartier… C’est un ivrogne
invétéré qui passe ses journées à aller de bistrot en bistrot…
ー C’est possible de mettre la main dessus ?
(©Georges Simenon : Maigret et l'indicateur; Chap.3)

「彼はヴィクトルといってこの辺では知られてます。毎日ビストロをはしごして、いつも酔払っています。」
「つかまえられるかね?」
(#101『メグレと匿名の密告者』第3章)

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il s’appelle ~(イルサペル)常用語句「彼は~(名前)とよぶ」
connu  < connaître  pp.(コニュ)よく知られている、有名な
quartier  n.m.(カルティエ)地区、界隈

ivrogne  n.(イヴローニュ)酔払い、のんべえ
invétéré  pp.(アンヴェテレ)常習の、したたかな

passer  v.t. 時を過ごす

de bistrot en bistrot…ビストロからビストロへ
(de ~ en ~:例えば「花から花へと」de fleur en fleur など多用される語句、冠詞なしで)

C’est possible de~?(セ・ポシーブル・ドゥ~)常用句「~ができますか?」そのまま疑問文にしている。

mettre la main dessus (メトル・ラマン・ドゥシュ)手でつかむ、捕える、見つける
警察用語として「逮捕する」という使い方もあるが、そうでなくとも日常の慣用表現で頻繁に使われる語句。例えば会社の中で、ある人に急用で話をしたいが、自席にはいない。どこに行ったかを周りの人に尋ねる場合にも使う。
dessus n.m. 上部、上方
mettre la main sur ~:~をつかまえる (vous, toi, lui) という使い方もある。