フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「二枚のシーツの間にすべり込む」

À cette heure, Lucas, qui avait été de nuit, se la coulait douce entre ses
draps.
(©Georges Simenon : Maigret et l'indicateur; Chap.1er)

当直だったリュカは、今頃寝床でぐっすり眠っていることだろう。
(#101『メグレと匿名の密告者』第1章)

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de nuit(冠詞なしで使う)夜中の、夜間の 
*ここでは「当直」service de nuit を指す。

se la coulait douce(スラクレ・ドゥス)< se la couler douce (慣用表現)
のんびり過ごす
*必ずしも眠るときだけ使うのではない。la が途中に入っているが何のことかは今のところ不明。
se couler v. すべり込む、紛れ込む、時間が流れる

drap n.m.(ドラ)シーツ、布地

*entre ses draps(アントル・セドラ)シーツ drap が複数形になっている。日本でもホテルのベッドは敷シーツと掛シーツになっているので、その間に身体をすべり込ませて寝るので納得。辞書の慣用句にも、être entre deux draps  または dans les draps が寝床に入っているという意味で載っている。