フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(フランス語の tu と vous)上司と部下の関係

Il sursauta quand il entendit des coups discrets à la porte qui faisait commu-
niquer son bureau avec celui des inspecteurs. Sans attendre la réponse,
Lapointe entrait.
— Je vous demande pardon de vous déranger, patron...
Tu ne me déranges pas du tout...
(©Georges Simenon : Maigret et M.Charles; Chap.1er)

(ぼんやり考え事をしていた)メグレは、隣の刑事部屋に通じるドアが控えめにノックされたのを聞いて驚いた。返事を待たずにラポワントが入ってきた。
「警視、お邪魔してすみません。」
「全然、邪魔じゃないよ。」
(#102『メグレ最後の事件』第1章)

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Je vous demande pardon(ジュヴ・ドゥマンド・パルドン)とても丁寧で改まった言い方の「ごめんなさい」「すみません」

*上司に対しては必ず vous を使う。部下に対しては大体 tu を使う。しかしフランスの日系企業などでは(語学力の問題もしくは民族の違いからでもあるが)上司の日本人が部下のフランス人になかなか tu とは言いにくいようだ。

déranger(デランジェ)邪魔をする、散らかす、など結構よく使われる単語。
*ホテルの「起こさないでください」のカードにも « Prière de ne pas
déranger »

pas du tout(パデュトゥ)全然~でない