フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(こだわりの酒)食後の強烈なマール酒

 Ils finirent leur repas par un marc sans étiquette qui tirait au moins 65° et
qui leur mit le feu aux joues.
(---) Le patron leur lançait de derrière son comptoir :
ー Vous avez bien mangé, messieurs ?
ー Fort bien.
(---) Il avait bien déjeuné.  Il gardait dans la bouche la saveur du marc.
(©Georges Simenon : La Patience de Maigret; Chap.2)
 彼らは食事の最後にラベルのない瓶のマール酒を飲んだ。少なくとも65度の強さで頬が赤くなった。
(---) カウンターの後から店主が声をかけた。
「いかがでしたか?」
「とても良かったよ。」
(---) 彼にはいい昼食だった。口の中にマール酒の味わいが残っていた。
(#91『メグレと宝石泥棒』第2章; 原題は「メグレの忍耐」)

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Ils finirent leur repas < finir(イルフィニール・ルーァルパ)彼らは食事を終えた(単純過去形)

*marc(マール)n.m. マール酒、葡萄の搾りかすから精製したブランデーの一種。アルコール度数が高い。ワインの産地ごとの銘柄がある。
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この場面ではオーベルニュ地方の地酒を店に持ってきたようだ。マール marc だけではわかりにくいので、英語では c を発音して「マーク・ブランデー」。フランスでは、
Eau-de-vie de marc(オードヴィ・ドゥマール)と表記される。
sans étiquette(サンゼチケット)ラベルなしの瓶
étiquette  n.f. 名札、値札、荷札、ラベル、儀礼、礼儀作法

tirait au moins 65° < tirer(チレトーモヮン・ソヮサントサンク・ドゥグレ)65度に及んだ(半過去形)

mit le feu < mettre(ミルフー)火を点けた(単純過去形)

lançait < lancer(ランセ)v.t. 投げる、声をかける(半過去形)

Vous avez bien mangé(ヴザヴェ・ビアンマンジェ)あなた方はよく食べましたか⇒ おいしかったですか

la saveur du marc(ラ・サヴール・デュマール)マール酒の味わい