フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「緑に身を置く⇒ 自然を満喫する」

ー Autant que je puisse deviner, c’est un endroit où certaines gens vont de temps en temps se mettre au vert. Cela s’appelle Au Bon Vivant.

(©Georges Simenon : Maigret, Lognon et les gangsters; Chap.6) 

 

「私が推察できる限りでは、ある人たちリフレッシュするために時々行くところですよ。オーボンヴィヴァンという名前です。」

(#66『メグレと生死不明の男』第6章)

∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

 

*バーの店主ルイジから渋々聞き出せたのは、メゾン=ラフィットにある小さな旅籠が米国人の競馬関係者がよく出入りしているという情報だった。

 

Autant que je puisse deviner < pouvoir(オータンク・ジュピュイス・ドヴィネ)私が推察できる限りでは(接続法・現在形)

 

c’est un endroit(セタン・ナンドロワ) そこは一つの場所です

 

*où certaines gens vont < aller(ウ・セルテーヌ・ジャン・ヴォン)ある人たちが行く

**文法メモ:人々 les gens は n.m.pl. なのだが、ここの前置きの形容詞 certain が女性形複数 certaines になっているのが不思議だ。辞書をよく見てみると、gens は語源的に昔は女性名詞だったことがあり、その影響で前置きの形容詞の場合のみ女性形で修飾される慣習だという。他の例として bonnes gens や vieilles gens など。しかし後に来る形容詞は男性形になる。(Les vieilles gens sont nombreux.) 非常にややこしい単語だ。

 

de temps en temps(ドゥタンザンタン) 時々

 

*se mettre au vert(スメトル・オーヴェール)直訳で「緑に身を置く」⇒ 野山に行く、田舎に行く、自然を満喫する、リフレッシュする

f:id:maigretparis:20200110092628j:plain

Crédit photo : Et si on se mettait au vert ?

@Lyon CityCrunch 2014

https://lyon.citycrunch.fr/et-si-on-se-mettait-au-vert/2014/05/21/

 

Cela s’appelle < s’appeler(スラサペル)そこの名前は~といいます

 

Au Bon Vivant.(オーボンヴィヴァン)bon vivant は直訳的には「良き生活者」、辞書には「陽気な楽天家」とあるので、小さな旅籠としてあえて和風の名前をつけるなら《楽居荘》あたりだろうか?