フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(フランス語警察用語)ヴァイオリンでの夜、タバコ屋行き

ー J’ai été arrêté une bonne douzaine de fois, lors de manifestations politiques, mais on m’a toujours relâché après une nuit au violon et naturellement un passage à tabac.

(©Georges Simenon : Maigret a peur; Chap.3) 

 

「私はデモのときに十二三回捕まっていますよ。でも一晩ブタ箱で過ごして、もちろん痛い目にあった後で釈放されました。」

(#60『メグレの途中下車』第3章)原題「メグレは恐怖の念を抱く」

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*日本語では「ブタ箱」というが、フランス語の俗語では「ヴァイオリン=ヴィオロン」violon  n.m. というようだ。4本の弦が張ってあるので、それが鉄格子のイメージだかららしい。

 

*直訳で「タバコ屋行き」un passage à tabac は俗語で「無抵抗な人に対して警察官が殴打すること」を意味する。

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Crédit d’image : Un violon dans la nuit : La Mémoire des camps @amazon.fr

 

J’ai été arrêté une bonne douzaine de fois < avoir, être, arrêter(ジェエテアレテ・ユヌボンヌ・ドゥゼーヌドゥフォワ)私は十二三回逮捕された(複合過去形)

 

lors de manifestations politiques(ロードゥ・マニフェスタシォン・ポリティク)政治的なデモで

 

*mais on m’a toujours relâché < avoir, relâcher(メ・オンマトゥジュー・ルラシェ)しかし私はいつも釈放された(複合過去形)on が主語の場合は受動態で訳すほうがわかりやすい

 

après une nuit au violon(アプレ・ユヌニュイ・オーヴィオロン) ブタ箱で一晩過ごした後

 

*et naturellement un passage à tabac(エナチュレルマン・アンパッサージュ・アタバ)そして当然のように殴打されること

tabac  n.m.タバコ、タバコ屋、殴打