フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「その肉と骨とで⇒ 生身の姿で、その人本人が」

 En somme, ce qui comptait, c’était l’arrivée de Maigret en chair et en os,
exactement comme s’il avait été une vedette de cinéma.
(©Georges Simenon : Mon ami Maigret; Chap.2)

 要するに重視されていたのは、あたかも映画スターであるかのようにメグレ本人がやって来たことだった。
(#57『メグレ式捜査法』第2章; 原題は「わが友メグレ」)

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En somme(アンソム)要するに、結局

ce qui comptait < compter(スキコンテ)重視されていたのは(半過去形)
l’arrivée de Maigret(ラリヴェ・ドゥ・メグレ)メグレがやって来たこと、到来

en chair et en os(アンシェー・エタンノス)直訳では「肉でそして骨で」 ⇒ 「その人本人」「生身の姿で」
la chair et les os(ラシェー・エレゾ)肉と骨(これは前置詞なしに単語を続けたものだが、日本語の「骨身にしみる」などの表現に近い?)os は複数形では s を発音しない。
イメージ 1

Crédit photo : L’écran sur youtube
de “Maigret e il falso amico”, Fight
club (version italienne)

exactement(エグザクトマン)adv. まさに、ちょうど
*comme s’il avait été < être(コムシラヴェテテ)あたかも彼が~であったかのように(大過去形)
comme s’il était(コムシレテ)の半過去形の構文でも良さそうに思えるが、現実にはスターではないことを強調したいためかも知れない。

*vedette de cinéma(ヴデット・ドゥ・シネマ)n.f. 映画スター(vedette は元来女性名詞なので、男性を指す場合でも une になる)