フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

メグレ警視の食卓「コマドリの串焼き」

ー Vous aimez la cuisine méridionale, monsieur Pyke ?
(---) Et Paul, le patron, de proposer :
ー Des petits oiseaux, pour commencer ?  J’en ai quelques brochettes qu’on
m’a apportées ce matin.
C’étaient des rouges-gorges, Paul eut le malheur de l’annoncer en servant
l’Anglais qui ne put s’empêcher de regarder son assiette avec attendrissement.
(©Georges Simenon : Mon ami Maigret; Chap.2)

「パイクさん、南仏料理は好きですか?」
(---) そこで店主のポールが勧めた。
「まず手始めに小鳥はいかがです?今朝届いて串焼きにしたのがあるんですよ。」
 それはコマドリだった。ポールは不運なことに英国人にそれを出しながら説明したが、出された方は自分の皿を見つめて悲しそうになるのを禁じ得なかった。
(#57『メグレ式捜査法』第2章; 原題は「わが友メグレ」)

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méridionale(メリディオナル)adj. 南仏の
méridien(メリディアン)adj. 子午線の、南の、正午の

proposer(プロポゼ)v.t. 勧める、提案する

pour commencer(プーコマンセ)手始めに

*brochettes < brochette(ブロシェット)n.f.  串焼き

qu’on m’a apportées < apporter(コンマアポルテ)私の所に持ってきた

*des rouges-gorges < rouge-gorge(ルージュ・ゴルジュ)n.m. 直訳すると「赤い喉」。
イメージ 1

参考画像で見ると顔から下のノドの部分の毛がオレンジ色の小鳥である。和名では「コマドリ」だが、日本のコマドリは頭の部分からオレンジ色になっているのでやや異なる。ヨーロッパ・コマドリと訳している辞書もある。しかし、このかわいい美しい鳥を「串焼き」にするのは何とも・・・(串焼きのほうの画像は自粛した)

Crédit photo: Le Monde Planète

eut le malheur de l’annoncer(ウルマルゥー・ドゥラノンセ)不運にも彼に伝えた(単純過去形)avoir le malheur de ~ 不幸なことに~した

en servant < servir(アンセルヴァン)給仕しながら、料理を出しながら(現在分詞)

qui ne put s’empêcher de < pouvoir(キヌピュ・サンペシェ・ドゥ)~を抑えることができなかった(単純過去形)

avec attendrissement(アヴェク・アタンドリスマン)n.m. ほろりとして、同情の念で、心が高ぶって