フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「ひもの上を引く⇒ 人につけ込む」

ー Seulement, ce gaillard-là (---) tirait un peu trop sur la ficelle
ー De quelle façon ?
ー Quand elle l’a rencontré, il se donnait pour antiquaire… Il était dans la
mouise, mais il attendait toujours une grosse somme pour le lendemain...
(©Georges Simenon : L’ami d’enfance de Maigret; Chap.5)

「単にこの抜け目のない男は、少し人につけ込み過ぎていたね。」
「どんなふうに?」
「彼女が出会ったときに、彼は骨董商ということだった。かなり窮乏していたのにつねに明日は大金が手に入ると思い込んでいたんだ。」
(#96『メグレの幼な友達』第5章)

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gaillard(ガィヤール)n.m. たくましい男、抜け目のない奴

*tirait un peu trop sur la ficelle(チレアンプゥトロ・シューラフィセル)直訳では「少し余計に紐の上を引く」でその「上を sur 」が問題で、普通に紐を引く行為よりも「それ以上のことをする」といった意味合いだと思う。(半過去形)
イメージ 1

tirer sur la ficelle(チレシューラフィセル)誇張する、人につけ込む、つけ上がる
ficelle(フィセル)n.f. 紐、ひも(綱、ロープ
corde よりも細く、糸 fil よりも太い)

Crédit photo : Edgeam 328 pieds/100m Naturel
Jute Ficelle; amazon.fr

De quelle façon ?(ドゥケルファソン)どんな方法で?

se donnait pour ~< se donner(スドネプール)自分を~だと思わせる

antiquaire(アンティケール)n.m. 骨董商

mouise(ムイズ)n.f. 貧困

attendait < attendre(アタンデ)v.t 待つ、待望する、期待する
une grosse somme(ユヌグロスソム)大金