フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「どうかなと思う」(3)

Je me demande si je ne vais pas demander contre eux un mandat de
dépôt au juge d’instruction…
(---)
ー Vous les arrêtez aujourd’hui ?
ー Je vais d’abord les voir rue du Caire...
Maigret n’en passa pas moins par le cabinet du juge d’instruction.
(©Georges Simenon : Maigret et l'indicateur; Chap.3)

「予審判事に奴らの逮捕令状を申請しようかなと思っているよ。」
「今日逮捕するんですか?」
「まずケール街の奴らに会いに行くつもりだ。」
メグレは(そう言ったものの)それでもやはり判事の部屋に立ち寄った。
(#101『メグレと匿名の密告者』第3章)

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*次の章でもまた同じ構文が出てきたので引用する。作者シムノンの常用句かもしれない。
Je me demande si~(ジュムドゥマンド・シ)~したらどうかなと思っている
me demande < se demander  v. 代名動詞で「自問する」
後に続くsi 以下の従属節が否定構文 ne ~ pas になっている
もし自分でこの言い回しを使おうと思っても、従属節に ne~pas を入れ忘れそうで自信がない。言葉は使い慣らすことが大事だ。


contre eux(コントルゥ)彼らに対して

mandat de dépôt(マンダ・ドゥ・デポ)逮捕令状、厳密には収監令状

juge d’instruction(ジュジュ・ダンストリュクシォン)予審判事

arrêtez  < arrêter(アレテ)逮捕する
d’abord(ダボー)まず先に

n’en ~ pas moins(パ・モワン)それでもなお~だ、少なからず

passa < passer par ~(パッセ・パー)~に立ち寄る、訪ねる


*この事件の概容についてはこちらへ #101