フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

フランス語の慣用表現「生きるか死ぬかの問題」

ー C’est urgent, monsieur le commissaire…  Il s’agit pour moi d’une question de
vie ou de mort…(---)  Je vous en prie, arrêtez tout au moins Manuel…   C’est le
plus dandereux...
C’est lui qui a tiré sur M.Maurice...
(©Georges Simenon : Maigret et l'indicateur; Chap.3)

「警視さん、急いでください。オレにとっては生きるか死ぬかの問題なんで。
(---)お願いだから少なくともマニュエルを捕まえてくださいよ。いちばん危険な奴で、モーリス御大を撃ったのも奴なんです。」
(#101『メグレと匿名の密告者』第3章)

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Il s’agit de ~:このままで~以降の部分を強調する慣用構文「~ということだ」として使われる。

*une question de vie ou de mort : 直訳的には「生か死にかかわる問題」だが、日本語としては動詞の形にして「生きるか死ぬかの問題」と言ったほうが練れた感じになる。この慣用句  
« question de ~» ~には名詞が冠詞( le, la ) なしで使われる。
question d’argent お金にかかわる問題
question de temps 時間の問題
さらに会話の中では de も省かれて  question vie ou mort(ケスチォン・ヴィ・ウ・モール)となる。映画にもよく出てきそうな語句である。

Je vous en prie(ジュヴザンプリ)「どういたしまして」という応答句で使う場合もあるが、ここでは「お願いだから…」という請願句になっている。