フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(こだわりの酒)陶器のコップにボージョレ

(---) il ne résisterait pas à l’envie d’aller boire un verre aux Caves du Beaujolais.
 D’abord parce qu’il aimait vraiment l’atmosphère de ces petis cafés-là, (---)  Il
aimait le beaujolais aussi, surtout servi, comme ici, dans des petits cruchons
de grès.  (---) Il franchissait à nouveau le pont, une agréable saveur, un peu
rêche, de beaujolais à la bouche.
(©Georges Simenon : Maigret et son mort; Chap.2)

(---)彼は《ボージョレの地下蔵》に一杯飲みに行きたいという気持に逆らわなかった。というのも彼はまずこうした小さなカフェバーの雰囲気が本当に好きだったからであり、(---) ボージョレも、ここの店のようにとりわけ小さな陶器のコップで出してくれるのが好きだったからである。
(---)彼は再び橋を渡って戻った。口元にボージョレのちょっと渋味のある気持のいい味わいを残しながら。
(#55『メグレと殺人者たち』第2章)

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ボージョレ・ヌーヴォは日本ではその年の11月の解禁日に大騒ぎになるが、フランスではそれほどでもない。日本の新茶、新そばと同じくらいの季節感を誘う話題でしかない。メグレのこの事件は2月のことで、それでもボージョレは普通のワインと同じように各店で出されている。
最近の日本語表記では「ボジョレー」のほうが多く見かけるが、「レー」と伸ばす発音(rais)は、フランス人はしていない人が多いように思う。(Beau)のほうも il fait beau. や女流作家 Beauvoir と同じように「ボー」のほうが近いように思う。

il ne résisterait pas à l’envie de < résister(イルヌレジストレパ・アランヴィドゥ)彼は~したいという気持に逆らわなかった(条件法)

aller boire un verre(アレボワール・アンヴェール)一杯飲みに行く

D’abord parce qu’il aimait vraiment l’atmosphère < aimer(ダボー・パースキレーメ・ヴレマン・ラトモスフェール) なぜならば彼はその雰囲気が本当に好きだったからである(半過去形)
イメージ 1

Crédit photo : L’écran sur Youtube
Téléfilm “Maigret’s dead man”
Bande annonce ©BBC 2016
@Guia del Ocio

Il aimait le beaujolais aussi < aimer(イレーメ・ルボージョレ・ゾッシ)彼はまたボージョレ・ワインが好きだった(半過去形)

surtout servi < servir(シュルトゥセルヴィ)とりわけ提供される

comme ici(コミシ)ここのように

dans des petits cruchons de grès(ダンデ・プチクルション・ドゥグレ)砂岩質土の陶器の小さなコップで  

Il franchissait à nouveau le pont < franchir(イルフランシッセ・タヌーヴォ・ルポン)彼は橋を改めて渡った(半過去形)

une agréable saveur de beaujolais(ユナグレアブル・サヴー・ドゥボージョレボージョレの気持ちのいい味わい、風味

un peu rêche(アンプーレシュ)ちょっと渋味のある、粗い、気難しい

à la bouche(アラブーシュ)口元に