フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(フランス語警察用語)毒薬は女性の仕業

» Je suis persuadé qu’il ne s’agit ni d’arsenic, ni d’aucun des poisons violents
qu’on emploie d’habitude.
» Que je vous dise en passant, madame Serre, que les empoisonnements
sont, neuf fois sur dix, œuvre de femmes.
(©Georges Simenon :Maigret et la Grande Perche; Chap.9)

「使い慣れているのは砒素でも、どの劇薬でもないと確信していますよ。セールさん、私がついでに言いたいのは、毒殺の十中八九は女性の仕業だということです。」
(#65『メグレと消えた死体』第9章; 原題は「メグレとのっぽの女」)

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*この事件でもまたしても真相が詳細に語られることはない。しかし、そもそも事件など最初からなかったと言い張る母親と息子には、最後に発見された死体の遺棄責任は問われるべきであり、父親の急死から続く息子の妻たちの短期間での死去にはあまりにも不自然な点が指摘された。すべては老母の息子を思う心情からだったのだろうか?
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Crédit photo : Couverture de “Maigret et la
Grande Perche”, Livre de poche, 06/1999

*Je suis persuadé que(ジュシュイ・ペルシュアデ・ク)私は~と確信している(受動態:←確信させられている)
persuader  v.t. 納得させる
persuadé  adj. 確信した

il ne s’agit < s’agir(イルヌサジ)~ということではない( il は非人称)  

arsenic(アルスニク)n.m. 砒素、ヒ素化合物

ni d’aucun des poisons violents(ニ・ドーカン・デポヮゾン・ヴィオラン)どの劇薬でもない

qu’on emploie d’habitude < employer(コン・ナンプロヮ・ダビチュド)使い慣れている

Que je vous dise en passant < dire(ク・ジュヴディーズ・アンパッサン)ついでに私があなたに言いたいのは(接続法現在形)

empoisonnements < empoisonnement(アンポヮゾヌマン)n.m. 中毒、毒殺、服毒死  

*neuf fois sur dix(ヌフ・フォワ・シューディス)十のうちの九は(日本語的に:十中八九は)

*œuvre de femmes(ウーヴル・ドゥファム)女の仕業
œuvre n.f. 仕事、行為、成果、業績