フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(フランス語警察用語)血液型はAB

ー On a retrouvé des traces infimes de sang sur la moquette, à l’endroit où le
tapis se trouvait… Ce sang est très dilué d’eau… On a dû laver et relaver la
tache, avec une brosse en chiendent, car on a retrouvé aussi une parcelle
de chiendent…
ー Est-il possible de déterminer la formule à laquelle appartient ce sang ?
ー C’est fait. Il s’agit de sang AB.
(©Georges Simenon : Maigret et l'indicateur; Chap.6)

「下敷の絨毯の上にわずかな血痕を見つけました。上に織物の絨毯があった場所です。血痕は水でかなり薄められていました。ごついたわしで何度も洗ったようです。そのたわしの欠けらも見つかりましたから。」
「その血液型がどれかは特定できるの?」
「やりました。AB型ということです。」
(#101『メグレと匿名の密告者』第6章)

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*犯罪捜査における血痕の分析あるいは血液反応については、どんなに隠蔽しようと意図しても何らかの痕跡が必ず残ることはよく知られている。

retrouvé < retrouver(ルトゥルヴェ)見つけ出す、探し出す、取り戻す

traces < trace(トラス)n.f.  足跡、跡、痕跡、名残
trace de sang(トラスドゥサン)血痕

infime(アンフィム)adj. 微細な、ごくわずかな

moquette(モケット)n.f. 部屋全体に敷きつめる薄めの絨毯

tapis(タピ)n.m. 絨毯、マット、厚い織物

à l’endroit où~(ア・ランドロヮウ)~の場所に

se trouvait < se trouver(ストゥルヴェ)

dilué d’eau(ディリュエドー)水で薄められて
diluer v.t. 薄める、溶かす、水増しする

On a dû < devoir(オンナデュ)~したに違いない

laver et relaver(ラヴェ・エ・ルラヴェ)洗ってまた洗って

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*une brosse en chiendent(ユヌブロス・アンシェンダン)ごついたわし
直訳的には「犬の歯のようなブラシ」だが、chiendent n.n. 単独でも「たわし」「厄介なこと」とも言う

parcelle(パルセル)n.f. 小片、かけら

Est-il possible de ~(エティルポシーブルドゥ)~が可能か?~できますか?(常用句)

déterminer(デテルミネ)v.t. 決定する、特定する

formule(フォルミュル)n.f. 書式、ひな形、公式、様式

à laquelle < auquel(アラケル)どれの、いずれの

appartient < appartenir(アパルティアン)に所属する、に所有する
C’est fait(セフェ)しました、済みました(常用句)

Il s’agit de~(イルサジドゥ)~ということです(~以下の言葉を強調する語形)

sang AB(サン・アーベ)AB型の血