フランス語で楽しむ「メグレ警視」

メグレ警視の原作本を味読する立場からフランス語の謎解きを試みます。横文字の文章を読み慣れるように

(メグレ美術館)食堂にシャルダンの静物画

Le salon (---) donnait sur une salle à manger où une nature morte de
Chardin, représentant des faisans dans un panier, semblait authentique à
Maigret.
ー Chardin ?
ー Je crois.
(©Georges Simenon : Maigret et l'indicateur; Chap.3)

サロンは食堂に通じていた。そこにはシャルダン静物が掛かっていて、籠の中に獲物の雉が描かれていた。メグレには本物に見えた。
シャルダンか?」
「そうです。」
(#101『メグレと匿名の密告者』第3章)

∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞

donnait sur < donner sur~(ドネ・シュール)~に面する、~に通じる
イメージ 1

salle à manger(サラマンジェ)食堂

où(ウ)関係代名詞、そこには

*nature morte(ナチュール・モルト静物画、直訳では「死んだ実体」、確かに狩猟で仕留めた雉や野兎は死んでいるので、それを描いた絵という辺りから来ているかも。普通にみずから動かない物、野菜や果物、道具類も含まれる。

*Chardin(シャルダン)18世紀フランスの画家。静物画や一般庶民の温かみのある生活画で知られる。ルーヴル美術館には「籠に入った雉」の絵は見つからない。個人蔵にはあるかも知れない。メグレは、この絵が本物だとすれば田舎の古い城館から盗まれた絵の一つだろうと考え、鑑定人を頼むことにする。
Crédit : Jean Baptiste Siméon Chardin (1699 - 1779) - Le Panier de raisin
(avant 1728), huile sur toile; Musée du Louvre, ©RMN agence photo

représentant  < représenter(ルプレザンタン)~を題材とした

des faisans < faisan(フザン)n.m. キジ、雉(発音はフェザンではなくフザン)

dans un panier(ダンザン・パニエ)籠の中に

semblait authentique(サンブレ・トータンティク)本物に見えた